校長雑感ブログ

2022年4月の記事一覧

4月22日(金)「数学嫌い」の原因として考えられること

〇国語の学習が全学年統一で、「詩」から始まっているのと同様に、数学では全学年が、「数と式」の領域から始めています。

〇数学の学習内容は、大きく「数と式」「図形」「関数」「データの活用」の4領域から成り立っています。最初の「数」と「式」は、数学全体の下支えをしていますので、当然最初に学習します。

〇まず「数」についてですが、数学では学年が進むほど「新しい数」を定義し、その世界をひろげていきます。中1ではまず、マイナス符号のついた数を含めて初めて学習します。でもこれはまだ身近に気温や成績などに使われているので、理解しやすいです。ところが中3になると、「2乗するとある数になる数のもとの数」いわゆる平方根(√)というあまり馴染みのない数が登場します。昔数学を教えていた際、よく生徒から「何でルートのついた数なんかでてくるの?」と尋ねられましたが、「数学の世界を広げ、応用範囲をひろげるためには、どうしても新しい数がないと数学は発展していかないのだよ」と答えてきました。

〇次に「式」ですが、これはいわゆる「文字を使った式」のことで、算数と数学の違いの究極はここにあります。小学校では□を使った式で、「□のなかにはいろいろな数が入ることができるよ」と説明していますが、その□の代わりに、文字という抽象性の高い記号を使うことにより、式を形式的(アルゴリズム)に扱うようにできるようになります。要するに式を計算する課程をより簡単し、「その結果として得られた最後の式から何がいえるのか?」に意識を集中させやすくすることをねらっています。

〇いずれにせよ、数学に苦手意識をもっている生徒は一定数いますが、原因の一つが、「数学の独特の世界に違和感がある」と私は経験上感じています。生徒には、「例えば旅行で、アメリカに行ったとしたら、その国の文化や風習にある程度合わせた上で、楽しむよね。数学もそれと同じで、数学の国の文化や風習にまずは慣れ、楽しむまでいかなくても、『まあ、こんなものか』くらいに思っていればいいよ」と話していました。

〇今の生徒に通じるかわかりませんが、「にいればにしたがえ」は、他の教科にも同じく言えるかもしれません。

須藤昌英

 

4月21日(木)詩の学習にちなんで

〇我孫子市に住んで20年以上になります。我孫子市は大正から昭和にかけての昔、「北の鎌倉」と呼ばれていたほどで、今でも自然が多く残っています。手賀沼と我が家の間には、田んぼと小さな山の林があり、春の田んぼからは蛙の声、夏の林からはうるさいほどの蝉の鳴き声が聞こえ、年間を通して四季を身近に感じます。

〇最近は朝の五時から、鶯の「ホーホケキョ」の鳴き声が聞こえ、気分良く起床しています。耳を澄ましていると、その他に「ケキョ」とか「ホヶキョ」とか「グチュグチュ」のように鳴くことがあり、それがある一定のリズムをもっているような気がします。

〇リズムと言えば、昨日から正規日課の授業が始まり、各学年の国語は、ぞれぞれ「詩」の学習から入っています。1学年は金子みすゞの「ふしぎ」、2学年は吉野弘の「虹の足」、3学年は谷川俊太郎の「春に」と有名な詩人ばかりの作品を味わっています。また詩の暗唱を通して、表現方法や作者の気持ちの変化などを自分や友達の考えを出し合い、読み取っていく過程を全学年共通で行っています。

〇詩を読み慣れることで、国語に必要不可欠な力が養われます。その力は、一説によると「映像化力」と呼ばれ、目の前に詩の情景をイメージしていく力だそうです。詩を難しいと感じる人が多いのは、少しの言葉で表された世界を、十分につかみとれないのが一つの原因らしく、生徒たちは繰り返し自分のイメージづくりに懸命です。

〇今はコロナ対策で、大きな声での暗唱はできませんが、生徒のつぶやく声と、鶯の鳴き声が重なっています。

須藤昌英

 

 

4月20日(水)今日から正規日課になります

〇昨日までは臨時日課でしたが、今日より正規日課となりました。生徒たちは、6時間目の終了時刻(午後3時25分)まで、自分の学びを深めようと取り組んでいました。彼らをみていると、50分授業6コマを受けるのは、「知力」よりもある意味「身体力」が必要ではないか・・と感じます。

 

〇小児科医師及び発達脳科学者で、文教大学教授でもある成田奈緒子さんは、多くの著書がありますが、それを一貫しているのは、「子育て=脳育て」ということです。

〇子どもの脳(特に前頭葉)を「順序良く、バランスよく」育てる作業が大切で、脳を育てるとは、「神経細胞(シナプス)を増やすこと」だそうです。

〇「脳育て」を家づくりに例えると、2階建ての家をイメージし、その1階は、「からだの脳(朝起き、就寝、睡眠、食べる、排せつ、呼吸、体温維持等)」で、2階が「おりこうさん脳(会話、読書、学習、運動等)」と表現されています。

〇と同様に2階をつくるにはまずはしっかりとした1階部分をつくることだそうです。その上で、あとから2階部分はゆっくりとつくればいいとなれば、やはり規則的な生活を優先させること、よく言われ使い古された言葉ですが、「早寝・早起き・朝ごはん」ということでした。

〇中学校時代は、論理的で人間的な思考ができるようになり、さらに抽象的な概念・言語を使って表現したりするようになります。もしご家庭で、お子さまの言っていることが、今までよりも「屁理屈」のように聞こえたとしても、それが成長の過程だと理解してあげてください。