校長雑感ブログ

2025年1月の記事一覧

1月6日(月)「はたらく細胞」を観て

〇新年になり映画を一つ観ました。最初はあまり気乗りしませんでしたが、家族に勧められて行きました。「はたらく細胞」という題で、館内には親子連れも多く、随所に戦闘シーンもあるので、子どもはどういう感想をもったのか知りたいところです。学校ならば気軽に生徒に「どうだった?印象に残った場面は?」など矢継ぎ早に尋ねられますが映画館ではそういうわけにはいきません。

〇映画の公式ホームページから紹介文を引用させてもらいます。

「人間の体内の細胞たちを擬人化した斬新な設定で話題を集め、テレビアニメ化もされた同名漫画を実写映画化。原作漫画『はたらく細胞』とスピンオフ漫画『はたらく細胞 BLACK』の2作品をもとに、ある人間親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマを並行して描く。

人間の体内には37兆個もの細胞が存在し、酸素を運ぶ赤血球や細菌と戦う白血球など無数の細胞たちが、人間の健康を守るため日夜はたらいている。高校生の漆崎日胡は、父の茂と2人暮らし。健康的な生活習慣を送る日胡の体内の細胞たちはいつも楽しくはたらいているが、不規則・不摂生な茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちが不満を訴えている。そんな中、彼らの体内への侵入を狙う病原体が動き始め、細胞たちの戦いが幕を開ける。」

〇人間の主人公の体内にある細胞の方の主人公は、赤血球(肺から取り込んだ酸素を全身の組織に運ぶ役割)と白血球(細菌、ウイルス、カビといった外敵やがんから身体を守る働き)で、それぞれが自分の役目を果たそうとする中で、無意識でお互いに連携してはたらいていますが、そのことを身体の主人である人間はまったく知らないで生きています。

〇先日、初日の出を見て、太陽と我々生物の関係を書きましたが、あれはマクロ(大きい・巨大)的な関係ですが、細胞はミクロ(小さい・細かい)的な世界で対照的です。ただ「目に見えない・意識できない」という点で共通点も感じました。

〇私は学生の頃から、「遺伝子や細胞」といったことに興味があり、一時期は科学者としてその研究もしてみたいと思っていました。ただ自然とそれを断念し、数学の教員となりましたが、生物分野でも数学が活用されているので、教員になった後も生物系の本を見るのが好きです。

〇例えば、細胞は1つの細胞から順々と細胞分裂していきますが、1回目の分裂で1個が2つに分裂して2個、2回目の分裂で2個がそれぞれ2つに分裂して4個、3回目の分裂で4個がそれぞれ2つに分裂して8個・・となり、30回目の分裂でおよそ10億個になります。つまり2のカイ乗(n乗)計算は、予想をはるかに超えるスケールで増えていきます。

〇また3年生が理科で学んでいましたが、メンデルの法則(遺伝子に関する古典的な研究)では、詳細は避けますが、エンドウ豆の丸形としわ型を交配させ、交配によって一つが他よりも優れて現れるのを「優性遺伝」と呼びます。その結果分析にはマトリクス(縦軸・横軸の二次元で構成された表)を使い、統計的な数学の処理をしています。

〇数年後には生徒たちは、社会に出てそれぞれの職業を通して収入を得ると同時に、その仕事や役割を通して社会に貢献していきます。その貢献という目には見えないはたらきこそ継続していく要因となります。「自分も何かの役に立っている」が自己有用感となりますので、前述の細胞たちのはたらきと共通している面があります。働くとはよく「自分の行為によって傍(はた)を楽(らく)にする」ことと語呂合わせのように言われることがありますが、上手な解釈だと思います。

〇明日は2週間ぶりに生徒たちと再会します。私は始業式で話す内容を考えつつ、3月の卒業式の準備も始めましたし、職員も多くが出勤し、明日からに備えています。感染症も流行っていますが、元気に登校してくれることを願っています。

須藤昌英