日誌

校長室より(令和2年度)

学ぶということ

 フランクルという精神科医は、ユダヤ人で、ナチスドイツの強制収容所経験のある人です。彼は「あらゆるものを奪われて、それでも人は生きる価値があるか」という問いに向き合い続けました。フランクルの結論は「人間は生きる意味を求めて問いを発するのではなく、人生からの問いに応えなければならない。そしてその答えはそれぞれの人生からの問いかけに対する具体的な答えでなくてはならない」としています。
 たいへん有名なことばですが、つまり、自分から意味を問うのではなくて、もう既に人生から問いかけられているのだから、それに応えなさいということです。人生という超越的なものに対して、自分で意味を見つける努力をせねばならないのです。
 それからもう一つ、坂口恭平という若いアーティストの言葉です。彼は自著の中で「自分のしたいことをしてはいけない」と書いています。おもしろいですね。ふつう大人はしたいことを見つけなさいとか、自分が進みたい方向に進みなさいと言いたがりますが、彼は絶対そんなことを言いません。じゃあどうするのか。「自分にしかできないことをしてください」。この言葉の意味はみなさんそれぞれで考えていただければと思います。

続・中学生からの大学講義1 学ぶということ 
「つながることと認められること」 斉藤 環 著 より抜粋