日誌

校長室より(令和2年度)

正しい道

何が幸せかわからないです。
本当に、どんな辛いことでも、
それが正しい道を
進む中での出来事なら
峠の上りも下りも
みんな本当のしあわせに近づく
一歩ずつなのですから。


宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」より

「しあわせ」という価値観は大きく変化しているのかもしれません。コロナ禍にあって様々な制限の中で、ますますその価値が揺らいでいるように感じます。そもそも価値観を共有すること自体が難しい時代ともいえます。それでも本来人間が失ってはいけない普遍の真理があるはずです。真理とは哲学の言葉で、だれにとっても正しいこと。「正しい道」とはその「真理」のことだと思います。「正しい道」を進んでいきましょう。

泥の中に咲く「ハス」のように

泥の中に咲く「ハス」のように

扱う仕事がいかに卑しくとも、足がいかなる泥中を踏むとも、思想が高潔であれば、行う業務も尊くなり、足元の泥中よりハスの花が咲くにいたる。尊卑貴賎は仕事をする者の心に属することで、正しく清い心を持ち、心に欲を持たず、虚心に世を渡れば、必ず同じ志の人が現れ、あるいは隠れたままで我々を援助してくれる。しいて同じ志の者を求めなくとも自ずから友ができて、世渡りの道を全うするのである。

「世渡りの道」 新渡戸稲造 著 より

仕事をしていて思うことは、一人ではできないことも、仲間がいれば乗り越えていけるということ。いろいろと大変なことも周りに支えられてここまで来ることができたと実感している。本当の仲間を見つけるため答えが、この文章の中にある。

チャイムの鳴らない11日間

1,2年生へのメッセージ
 
 2学期が終わります。今年は休校期間があったため,冬休みも少し短くなってしまいました。時間がたつのは早いもので,令和2年度も休日をのぞくと,卒業式まで45日、修了式までは53日となりました。

 今年はコロナに翻弄された1年でした。休校からはじまり、旅行行事の中止、体育祭も中止、総合体育大会も中止、マスクや消毒は欠かせないものとなり、いまだかつてない学校生活を送らざるを得ない1年でした。それでも「できることに取り組もう」と様々なことに挑戦しました。授業動画の配信やオンラインでの朝の会、学習会などに取り組めたことは今後に生きてくるはずです。また10月終わりに実施された文化祭もオンラインで実施し,フェイスシールド越しではありましたが、どのクラスも素晴らしい歌声を披露し,各学級の「思い」を伝えてくれました。特に3年生は制限された練習にもかかわらず、例年に負けない素晴らしい歌声を聞かせてくれました。卒業式には何とか全校で歌いたいものです。
 
 11月に生徒会が企画してくれた全校体育大会はとても素晴らしい取り組みでした。企画・運営を生徒中心に行ったことは大変意義のあることだと思います。これからの学校行事は,これまで以上に生徒が主体となって実施していくようにするべきです。自分たちで課題を見つけ,解決・修正しながらプロジェクトを進めていくという経験を沢山してください。そして行事だけでなく,当事者意識をもって毎日の生活を見直してほしいのです。文化祭の最後に行われた生徒会引継式では3年生から1,2年生に伝統の襷が渡されました。2年生が中心となり,1年生がそれを支え,次年度に向けた準備を進めてください。

 みなさんにとって2学期は充実した時間だったでしょうか。成長することができたでしょうか。これまで経験してきたことを自分自身の成長の糧にしてください。11日間の少し短い冬休みが始まります。2学期の終了と令和2年の終りを期に,この1年間をしっかりと振り返って,来るべき2021に向けての準備をしましょう。充実した冬休みになることを祈っています。
3学期の始業式で元気な姿を見せてください。良いお年を。

3年生へのメッセージ

 2学期が終わります。卒業式まで実質2ヶ月を切りました。休みを除けば45日で君たちは義務教育を終えます。義務教育とは,日本国憲法の26条に「すべて国民は,法律の定めるところにより,その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする。」とあるように,君たちの保護者に課せられた義務を表わします。義務教育までは保護者や教師といった大人の保護を受けながら,嫌でも学校で勉強しなければならないわけです。では義務教育を終えるということはどういうことでしょうか。別に無理に進学する必要はなく,学校に行きたくなければ社会に出て働くことだって可能だということです。もちろん未成年である君たちにはさまざまな規制は残っています。しかし義務教育を修了するということは,「一人の社会人としての資質を身につけることが出来た」ということになるわけです。どうでしょう。一人の社会人としての資質は身についたでしょうか。君たちの大部分は自分で進学する道を選びました。もしかしたら,そんな難しいことを考えもせず,親の言うままに,あるいは周りにあわせて当たり前のように進学していく人がほとんどかもしれません。でも考えてください。これから少しずつではあるけれど君たちにも責任が要求されるということを…。
 冬休みは進路決定に向けた正念場です。プレッシャーもあるでしょう。どうしたってイライラするし,投げ出したくなることもあるはずです。でも,大丈夫。何とかなります。大切なのは客観的に自分を見つめる目を持つことです(メタ認知)。自分の行動を考えて,それが本当に正しいことか,そのときにすべきことかを考えてください。一時の誘惑に負けて,自分自身や大切な人たちを傷つけることがないようにしてください。
コロナに翻弄されながらも,やれるべきことにしっかりと取り組んでくれた3年生。特に文化祭ではどのクラスの歌声もすばらしく,各学級の「思い」が伝わりました。当日の歌声はもちろん,それまでの取り組みは評価に値するものだと思います。毎日の積み重ねを大切にして,卒業の歌につなげてください。
 3学期に入ると,進路決定者が続々と出てきます。進路が決定していない仲間が不安に思うことなく,最後の一人が進路を決定するまで,みんなで学びあう雰囲気を維持してください。この学年の仲間,先生方と一緒に生活できるのもあと45日です。みんなと共有できる残りの時間を大切にしながら,誇りを持って卒業していくために一日一日を大切にしてください。
 充実した冬休みになることを祈っています。良いお年を。

2学期保護者会「令和2年を振り返って」

 本日はお忙しい中,保護者会にご参加いただきありがとうございます。2学期も本校の教育活動に,ご理解とご協力をいただきましたこと,心より感謝申し上げます。
さて,令和2年もあと10日あまりで終わろうとしています。今年の流行語大賞は「3密」と決まったそうです。他にもトップテンの中にアベノマスクやアマビエ,オンライン,GoToなど新型コロナウイルスに関係する言葉が多数選ばれています。まさにウィズコロナの令和2年だったのではないでしょうか。
 学校は,年度初めの休校から始まり,6月の入学式,分散登校,旅行行事の中止,体育祭の中止と,今までに経験したことのないイレギュラーな1年でした。この1年で校長の私自身が一番実感し,学んだことは,「とにかくできることに挑戦してみる」ということです。学校や行政機関は失敗を恐れるあまり,新しい取り組みに慎重になる傾向があります。これはある意味仕方のないことかもしれません。しかしウィズコロナの状況にあって,子どもたちの健康安全を優先し,かつ学びを止めないことを考えた時,「まず挑戦」しなければ先に進むことができませんでした。4月,5月の休校期間中には授業動画の配信やZoomを活用した学級会等にいち早く取り組みました。今では各行事をオンラインで実施しています。オンラインを学校で活用したことで,通信環境の悪さやデバイスの不具合など,今後改善しなければならないことが見えてきました。それを踏まえて,10月に実施した文化祭では,専門の映像業者さんの力をお借りすることにしました。PTAの支援があったからこそできたことです。
 3年生の「レインボープロジェクト」ではクラウドファンディングに挑戦しました。お金が関わることなので当然賛否があり,厳しいご意見もいただきました。でもやってみたことで学校の外と新しいかかわりが生まれ,それが経験になったことは大きな成果です。3年生の生徒会の生徒たちにとって,またかかわった職員にとっても,大変意味のある体験学習だったと思います。何よりこれまで生徒から感染者を出さずに,新しいことに挑戦できたことは,大きな成果だと思います。次年度のGIGAスクール実施に向けての準備も進めております。生徒一人ひとりが一台のデバイスを持った時,新しくどんなことができるのか試行錯誤していきたいと思います。
 シリコンバレーのスタートアップ企業では「Fail fast Fail often(フェイルファスト・フェイルオフン)」という言葉がよく使われるそうです。「早く失敗しなさい,何度も失敗しなさい」という意味です。失敗を改善して次につなげることが前提となりますが,失敗を恐れて一歩踏み出せなければチャンスに乗り遅れてしまうということなのでしょう。子どもたちに身に着けさせるべき本当に必要な力は,失敗を恐れずに,他と対話し協働しながら,新しいことに挑戦し,失敗したら,そこから学び改善していくことができる力なのではないでしょうか。失敗したり,批判されたりしても,あきらめずにやり遂げることができる。その前提になるのが当事者意識です。自分の問題としてとらえるからこそ挑戦しようと思えるのです。誰かにやってもらうことに慣れてしまえば,失敗を人のせいにして,いつも不満を言う人になってしまうでしょう。コロナ禍ではそんな大人の姿も浮き彫りになってしまっているのかもしれません。中原中学校では当事者意識をもって挑戦できる生徒を,これからも育てていきたいと思います。

 Smile Diversity  Update  Challenge

柏市立中原中学校 校長 藤崎 英明

「Fail fast! Fail often!」

 大体、僕の人生は、いわゆる見たり、聞いたり、試したりで、それを総合してこうあるべきだということで進んできた。もしわからないようなことがあって、そのために本を読むんだったら、そのヒマに人に聞くことにしている。 (中略) さっきもいった通り、人生は見たり、聞いたり、試したりの三つの知恵でまとまっているが、その中で一番大切なのは試したりであると僕は思う。ところが世の中の技術屋というもの、見たり、聞いたりが多くて、試したりがほとんどない。僕は見たり聞いたりするが、それ以上に試すことをやっている。その代わり失敗も多い。ありふれたことだけど、失敗と成功はうらはらになっている。みんな失敗をいとうもんだから、成功のチャンスも少ない。本田が伸びた伸びたって、最近みんなが不思議がるが、タネを明かせばこれ以外にない。


井深大 著 「わが友 本田宗一郎」(文春文庫)の本田氏の言葉より


※井深
 大は、日本の電子技術者および実業家。 盛田昭夫とともにソニーの創業者の一人。

※本田 宗一郎は、日本の実業家、技術者。輸送用機器メーカー本田技研工業の創業者。


シリコンバレーのスタートアップ企業では、
「Fail fast! Fail often!」という言葉がよく使われるそうです。「早く失敗しなさい、たくさん失敗しなさい」という意味です。失敗を恐れて挑戦しないとチャンスを失うということでしょう。学校は生徒たちにもっと失敗の経験を踏ませるべきなのだと思います。