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8月19日(金)に,田中中学校区の4校合同研修会(田中中・田中小・花野井小・本校の,4校の教員全員が参加
する研修会)が行われました。
テーマは「子どもの人権をどう捉えるか」でした。
講師は,東京弁護士会子どもの人権委員会委員長の,弁護士佐藤香代先生でした。
佐藤先生は,1つの事例をもとに,問題を見立てる際の視点,問題解決の手立てのステップ等について,大変
わかりやすく,法の視点を入れながらお話をしてくださいました。
事例は以下のようなものでした。
担任の注意を聞かずに手遊びを続けていた児童がいました。担任は,「言うことを聞けないなら,教室から出て
いきなさい。」「あなたが出ていかないなら,私たちが出ていきます。」と言い,当該児童をひとり教室に残し,他の
児童を連れて隣の空き教室に移動し,授業を続けました
この事例を見た時に,問題点が3点あると感じました。
①児童の「安全」に関する問題
⇒ 担任たちが教室を出ていった際に,すぐに支援員が当該児童のそばに行ったということですが,短い時間
であったとしても,児童を教室にひとりぼっちにした点
②児童の「心情」に関する問題
⇒ 教室にひとりぼっちにされ,隣の教室で授業をされたことについて,当該児童がどう感じるか等への配慮に
欠けている点
③行動の「背景」に関する問題
⇒ 児童に,「なぜ手遊びをするのか」を聞いていない点
佐藤先生からは,上述の点などについて詳しく丁寧にご講義いただいたのですが,特に印象深かったのが次の3点です。
①人権の中核となるのは「安心・自信・自由」の権利であること。
⇒ 安心 : 心穏やかに生きていく権利
自信 : ありのままの自分を尊重してもらえる権利
自由 : 自分の道を自分で選ぶ権利。自己決定権
②子ども本人への意見表明権を保障すること。
⇒ 子どもの声から,何が問題になっているかを考えることが重要。
③ソーシャルワークの視点から,行動の背景要因を探ること。
⇒ 当該児童は,この時,「なぜ手遊びをしていたのだろうか?」「どうすれば手遊びをなくせるだろうか?」
を考えることが重要。
学校が,子どもたち一人一人の「安心・自信・自由」「意見表明権」を保障し,指導する際には行動の「背景要因」
を探るよう,全職員で共通理解を図り,2学期の始業式を迎えたいと思います。
8月5日(金)午前中に,秋田県大館市教育長 髙橋善之先生の講演を聴く機会を得ました。
大館市は,全国学力テストで好成績を収め続けている秋田県の中でもトップクラスの自治体です。しかしながら,
特別なテスト対策は一切行っておらず,10年以上に渡って「ふるさとキャリア教育」に取り組んできた成果が,
テストにも表れているのだとおっしゃっていました。
髙橋先生が教育長として10年以上取り組まれたことの中には,「子どもハローワーク」(子どもたちが休日や
夏休みを活用し,希望する市内の職場やイベントなどで働く体験ができる事業)や,「未来人財プロジェクト」(地方
都市の維持に欠かせない,医師・薬剤師・教師等の専門職を意図的に育成する事業)など,非常に興味深い取り組みが
多々ありました。
このように,大変学ぶことの多い研修だったのですが,私が最も感銘を受けたのは,髙橋教育長が冒頭に話された
「教育交流の意義」でした。その内容は3つありました。
① 窓を開けなければ,新しい風は入ってこない。
② 旅に出ないと,空がひとつであることに気がつかない。
③ 志を掲げないと,生涯同志に出会うことがない。
①の窓というのは「心の窓」のことです。心を開かないと,新しい価値観や理念,未来への希望・展望は開かれ
ないということだと解釈しました。
②については,大舘の空も柏の空も同じで繋がっていると話されました。私は,どこにいても,教育の本質や
目指すべきものは一緒なのだと解釈しました。
③を聴いた時には,身体が震えました。志(理想や理念を含む)を持つだけでなく,それを表明することが大事だ
ということ,そして,同志と繋がることが重要なのだということを強く感じました。
日々の慌ただしさに負けてしまいそうなこともあったのですが,髙橋教育長に勇気と元気をいただくことができ
ました。
髙橋教育長は次の言葉もおっしゃっていました。「子どもたちに希望を語り,胸に誇りを刻む学び」「子どもたち
に,生涯を支える種をまくこと」「小さな完成品を作るのではなく,大きな未完の器を育む学び」を大切にされている
と・・・。
世の中,理不尽なことも多々ありますが,子どもたちが未来に希望が持てるように,自分や仲間,日本に誇りを
持てるように,自分にできること,すべきことを行っていこうと決意した夏休み前半でした。
前回に引き続き,私の目指している働き方改革について記したいと思います。
前回,教育界が3つの危機に瀕していると記させていただきました。
そのことから,
①教員の心身,つまり「健康」を保つこと
②教材研究を勤務時間内にできるようにすること
③学生が学校で働きたいと思えるような「働き甲斐」のある職場環境づくりを行い,その情報を開示していくこと
が重要だと考えました。
①については,心身の健康を維持するには,様々なストレスを少しでも軽減することが肝要であると考えて
います。
ストレスの軽減は,個人でできること(私の場合はテニスをして汗をかくこと)もありますが,職場としては,遠慮
なく「助けて」と言えることや,ヘルプのサインが出された際に,話を聴いたり,手伝ってあげたりできることが重要
だと思っています。
「大変さを分かち合うことのできる職場」を構築し,職員が1人でストレスを抱え込むことがないようにして
いきたいと考えています。
②については,週に1回は放課後の時間に,できれば協働して教材研究ができる時間を捻出したいと考えて
います。東葛地区は,小学校でも「部活動」と称して,通年で運動や音楽に取り組んできました。しかしながら,
中学校でも,部活動を地域に移行する動きが本格化しています。そのようなことから,小学校の部活動も,今までの
当たり前を見直す時期にきているのではないかと考えました。
以上のことから,本校では,大会やコンクール等の2カ月前から,週3日の放課後練習という形で部活動を運営
したいと思います。残りの2日間に関しては,月曜日を研修日,木曜日を会議日とするなどして,研修日の一部
(の時間)を教材研究の時間にしていきたいと思います。
③については,学生にとって働き甲斐があるか否かは,当人たちに聞いてみなくてはわからないので,まずは,
実際に働いている職員にとって働き甲斐のある職場づくりを進めていきたいと考えています。現在,職員の意見を
聴きながら,本校の強みと弱み(課題)を明らかにし,課題解決のための手立てを考えているところです。この点に
ついては,集約できたところでお知らせいたします。
以上のことから,
・職員のストレス要因を分析し,その解消に向けた取組を実践すること
・大変さを分かち合える職員集団をつくること
・週に1日でも,教材研究を勤務時間内に行うことができるようにすること
・実践していることについて,積極的に開示していくこと
に取り組んでいきたいと考えております。
これらの取組を通して,職員が笑顔でいきいきと子どもたちと向き合うことができるように,働き方改革,改め,
「働き甲斐改革」を進めてまいります。
ここ数年,「働き方改革を進めよ」と事あるごとに言われます。理解はできますし,進めるつもりもあるのですが,
自分の中で「腑に落ちない」ところもあります。それは,「長時間勤務の縮減」や「早く帰宅すること」,つまり
「時短」=働き方改革とは思っていないからではないかと自己分析しています。
そこで,今回と次回(来週)の2回に分けて,働き方改革が求められる背景や,私の目指す働き方改革について
記したいと思います。
「働き方改革を行う理由」は,教育界が以下の3つの危機に瀕しているからであると考えられます。
1 教員の心身の危機
2 未来の教育の危機
3 人材獲得の危機
1については,25年前に比べ,1日に約1時間半(90分)教員の勤務時間が増えたというデータがあります。
また,勤務時間増に比例して,病休者や精神疾患も増加しているというデータも示されています。これらのことから,
今のような働き方をしていては,心身に不調をきたす教員がさらに増えていくという危機感があることが伺えます。
2については,ある調査結果では,教員の3/4が「教材研究(構想を練ることも含めて,主に授業の準備)の時間
が足りない」と思っていること,そして,教員の1/3が「月に1冊も読書をしていない(できていない)」ことが
示されていました。読書については,「時間がない」という理由だけではないと思いますが,教材研究に関しては,
複数人で行わなくてはならない校務分掌上の業務や会議,研修等を優先せざる得ないために,教材研究は勤務時間後や
帰宅後に行っているというのが,ほとんどの教員の実態だと思います。
3については,「教員採用倍率の低下」や「教師不足(担任が足りず,教務主任や教頭が担任を兼務せざるを得ない
状況など)」は各種報道等でもご存知かと思います。この点は本当に危機的状況で,「ブラックな職場」という
イメージが定着してしまったために,教員になりたいという人材が急減しているという状況があります。
私は,「未来の日本を支える人材(子ども)を育てる」教育という営みは,非常に責任が重いですが,やりがいの
ある仕事だと思っています。
子どもたちに,社会や組織で求められる力,これからの時代を生き抜くための力(正解のない問いに対して,仲間と
協働して納得解を導く(合意形成を図る)力など)をつけるために,学校としてどのような学ぶ機会を用意し,学び方
を伝えていくかなどを考えることにやりがいを感じています。
なので,学生から逃げられる(避けられる)職場ではなく,大変かもしれないけど自分もがんばってみようと思って
もらえるような職場にしていきたい(していかなくてはならない)と思っています。そして,その取組を発信して
いきたいと思っています。
話が長くなってしまいましたが,今回は,働き方改革が求められる背景とそのことに関連する私の考えを若干
記させていただきました。
次回は,私の目指す働き方改革についてお伝えしたいと思います。