文字
背景
行間
ここ数年,「働き方改革を進めよ」と事あるごとに言われます。理解はできますし,進めるつもりもあるのですが,
自分の中で「腑に落ちない」ところもあります。それは,「長時間勤務の縮減」や「早く帰宅すること」,つまり
「時短」=働き方改革とは思っていないからではないかと自己分析しています。
そこで,今回と次回(来週)の2回に分けて,働き方改革が求められる背景や,私の目指す働き方改革について
記したいと思います。
「働き方改革を行う理由」は,教育界が以下の3つの危機に瀕しているからであると考えられます。
1 教員の心身の危機
2 未来の教育の危機
3 人材獲得の危機
1については,25年前に比べ,1日に約1時間半(90分)教員の勤務時間が増えたというデータがあります。
また,勤務時間増に比例して,病休者や精神疾患も増加しているというデータも示されています。これらのことから,
今のような働き方をしていては,心身に不調をきたす教員がさらに増えていくという危機感があることが伺えます。
2については,ある調査結果では,教員の3/4が「教材研究(構想を練ることも含めて,主に授業の準備)の時間
が足りない」と思っていること,そして,教員の1/3が「月に1冊も読書をしていない(できていない)」ことが
示されていました。読書については,「時間がない」という理由だけではないと思いますが,教材研究に関しては,
複数人で行わなくてはならない校務分掌上の業務や会議,研修等を優先せざる得ないために,教材研究は勤務時間後や
帰宅後に行っているというのが,ほとんどの教員の実態だと思います。
3については,「教員採用倍率の低下」や「教師不足(担任が足りず,教務主任や教頭が担任を兼務せざるを得ない
状況など)」は各種報道等でもご存知かと思います。この点は本当に危機的状況で,「ブラックな職場」という
イメージが定着してしまったために,教員になりたいという人材が急減しているという状況があります。
私は,「未来の日本を支える人材(子ども)を育てる」教育という営みは,非常に責任が重いですが,やりがいの
ある仕事だと思っています。
子どもたちに,社会や組織で求められる力,これからの時代を生き抜くための力(正解のない問いに対して,仲間と
協働して納得解を導く(合意形成を図る)力など)をつけるために,学校としてどのような学ぶ機会を用意し,学び方
を伝えていくかなどを考えることにやりがいを感じています。
なので,学生から逃げられる(避けられる)職場ではなく,大変かもしれないけど自分もがんばってみようと思って
もらえるような職場にしていきたい(していかなくてはならない)と思っています。そして,その取組を発信して
いきたいと思っています。
話が長くなってしまいましたが,今回は,働き方改革が求められる背景とそのことに関連する私の考えを若干
記させていただきました。
次回は,私の目指す働き方改革についてお伝えしたいと思います。