校長雑感ブログ

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9月24日(火)選挙管理委員会と生徒会本部役員選挙

〇9月2回目の三連休が明け、一気に秋の空気に入れ替わりました。今週は定期テスト、来週は体育祭が予定されており、生徒たちには爽やかな中で学習やスポーツに精一杯取り組んでほしいと思います。

〇20日(金)に新生徒会役員を決めるための立会演説会と投票選挙がありました。午後の蒸し暑い体育館で、立候補者の真剣な話に、全校生徒も耳を傾けていました。

〇選挙というとその候補者にスポットが当たりますが、その裏で選挙管理委員会の存在を忘れてはいけません。一般に学校の選挙管理委員会とは、選挙が公正に行われるよう教職員や生徒会組織などからも独立した機関として設置されます。今回は3年生の松原和奏さんが委員長として、事前に選挙公報を発行するなどして公正な選挙が行われました。

〇例年ですと、柏市選挙管理委員会から選挙で使用する本物の「記載台と投票箱」を借りてきて投票を行っていましたが、今年は各自の端末(タブレット)からのアクセスし、グーグルフォームで投票しました。今後いつかは国政選挙も同様に、オンライン投票になると言われていますので、その予行練習という意味も生徒達にはあります。

〇話は変わりますが、私が小学校4年時(今から51年前)の担任の先生が柏市議会議員を務めていらっしゃいます(3期9年目)。一年前の市議会議員選挙では惜しくも次点でしたが、今回一人の候補が辞職されたのを受けて、繰り上げ当選になりました。この恩師の議員は元教員という経験をいかし、市議会でも教育に関する質問が多く、加えて日頃から学校現場の立場から市の各当局への働きかけをしてくださっています。

〇このような手続きを法律に従って行うのが、千葉県や柏市の選挙管理委員会事務局です。今般の選挙管理委員会事務局の一番の課題は、「投票率の向上」です。大人でも自分の権利である投票権を軽く考えたり無駄にしたりする人がいかに多いかが課題であることは、少し残念な気がします。これでは生徒たちに民主主義の意義や大切さを語ることはできないでしょう。我々大人が襟を正して各選挙に臨むことだと思います。

須藤昌英

【柏市選挙管理委員会事務局のHPより】

9月20日(金)「もふもふ、まったり、きゅんきゅん、さくっと」

〇文化庁が昨年度の国語に関する世論調査の結果を公表しました。日常生活で使われる新しい意味や使い方が辞書に記載され始めた言葉を調査すると、年代別にその特徴が浮きぼりになります。

〇例えば「もふもふ」という言葉を多用するのは30歳代以下で8割を越えます。私などはほとんど自分では使わないので、若者はその言葉に何か癒しを求めているのかもしれないと想像します。

〇問題なのはその表現を聞いたとき、他人が使うのが気になるのか気にならないかだと思います。「まったり」は40歳代以下では7割越えの人が使うそうですが、私は不快まではいきませんが少し違和感(だらだらするの意なのか?)を覚えたり、「きゅんきゅん」などは言いたいことは理解できたりしますが、ちょっと擬態語過ぎて、「ときめく」や「期待する」などの従来の言葉の方がしっくりくる気がしてしまいます。

〇東洋大の三宅和子名誉教授は新聞の解説で、「新しい表現の普及には、交流サイト(SNS)といった、主に若者中心のインターネット文化が影響している。本来は切れ味や歯ごたえを表す『さくっと』のように、感覚的・情動的な短い表現が好まれる特徴があり、若者の感覚的コミュニケーションが中高年までに広がっていることが分かる。ある程度の意味が伝わればいいという曖昧さも特色で、対立軸を明確にせず何となく共感できれば良しとする社会の風潮にもつながっているのではないか。」

〇さすがに専門家の指摘は的を得ています。ただその一方で、今NHKの大河ドラマが紫式部を描く「光る君へ」である影響で、源氏物語や枕草子などの古文が若者にも見直されています。伝統的な日本語は、読んだり聞いたりした瞬間にその情景が思い浮かぶように、音の奇麗さやつながりを大切にしています。

〇その分、現代人の我々には読みにくいのですが、たまには「いとをかし(とても趣があるの意味)」や「やんごとなし(並々ではないの意味)などの奥ゆかしい表現に触れるのも、楽しいかもしれません。

須藤昌英

9月19日(木)無気力な寝太郎が使命感を抱いて世界へ挑戦し続ける

〇この夏に読んだ数冊の本の中で、「ユニクロ(杉本貴司著:日本経済新聞出版社:令和6年4月発行)」が印象に残っています。世界的に有名な衣料メイカーのユニクロは、柳井正氏(現在75歳)が昭和59年に仲間と創立し、現在は我々の身近な生活にも慣れ親しんでいる企業です。

〇ユニクロの目指す理念は、「ライフウェア(老若男女も国も人種も問わずに、誰もが着ることができて、環境や社会にも配慮した服)」をつくることであり、現代的な課題にも挑戦している感じがします。私もこれまでその気軽さからユニクロのいくつかの服を購入しており、上記の理念を目指していることもこの本を読んで少し理解できました。

〇私が注目したのは、創業者の柳井氏の若い頃のエピソードです。柳井氏は山口県宇部市で生まれ、父親が経営していた洋品店の跡継ぎ息子でした。父親は昔ながらの親分気質で気性が荒く、柳井氏は「何でもいいから一番になれ」と常に言われ続けていました。柳井氏は父親からの期待とも抑圧ともいえる重圧の中で、高校時代には好きなサッカー部も父親の意向で退部させられ、逃げ道を求めるように受験勉強に打ち込みました。

〇4人のきょうだい(柳井氏以外は姉1人と妹2人)で、3人の姉妹に対して父親は優しく、厳しく接したのは柳井氏だけでした。妹さんの一人は当時を振り返って、「私は男に生まれなくてよかったなと思いました」と述べています。当然、柳井氏と父親の間には溝ができ、ほとんど会話もなかったようです。

〇そこで進学した東京の大学では、当時は日米安保闘争などの学生運動が盛んで、ほとんど講義もなかったそうで、学生運動にも興味のなかった柳井氏は、下宿の部屋に閉じこもって過ごしました。下宿の大家さんからつけられたあだ名が「寝太郎」でした。好きなジャズを聴きながら、ただおもいつくままに本を読み、4年の日々を浪費しました。

〇その後の柳井氏の人生の転機や目覚ましい躍進のことについては、本を読んでみてください。一言でいえば、何度も転びながら這い上がってきた日々であることがわかります。若き日の青年柳井氏の葛藤を本人への取材を含めながら、著者の杉本氏は、新聞社の編集委員としての鋭い視点で、この本を書いています。

〇2年前に母校の早稲田大学で後輩の学生に向かって講演した柳井氏の言葉の一部を引用させてもらいます。

「私は人が生きていくうえで最も大切なことは、使命感を持つことだと思います。そのためにはまず、自分は何者なのか、そのことを深く考える必要があると思います。自分にとって何が最も大切なことなのか。絶対に譲ることができないものはなんなのか、そこを突き詰めて自らの強みを発見し、生かす。自分にしかできない、自分の人生を思いっきり生きてほしい。明確な意識があるのとないとでは、同じ人生を送っても成果は百倍、千倍あるいは一万倍も違うのではないかと思います。」

〇今、3年生と校長面接を行っていますが、思春期は不安と葛藤で心の中はいっぱいであることが伝わってきます。でもこの柳井氏のように、学生時代に何も成し遂げられずに苦しみながら過ごしたとしても、誰もがその将来に関してはそれぞれの無限の可能性をもっているのですから、彼らを応援し続けていきます。

【追記】

〇柳井氏は若い頃、教師になりたいと希望している時期があったようです。しかしそれを断念した理由が、生まれ持っての「どもり症」であったことも隠さずにあからさまにしています。会話している時にはまったく問題がないのに、原稿などを読み上げようとすると不思議にすぐに言葉に詰まってしまうようです。その為今でも、講演の依頼は極力断っているそうです。柳井氏がどんな教師になったかを見てみたかった気もしますが、それよりもそのハンディキャップを乗り越えて、代表取締役会長として活躍していることに勇気を覚えます。

須藤昌英

 

9月18日(水)応急手当講習会

〇9月の中旬になってもまだ猛暑のような厳しい日差しが多く、熱中症の心配が絶えません。熱中症は保健室などで応急処置をしても、もし意識がはっきりしない場合はすぐに救急車を要請します。しかし、救急車が到着するまで全国平均で8~9分程度の時間がかかりますので、応急処置をいかに的確にするかが、症状の悪化やその後の後遺症を防ぐことにつながります。

〇保健体育の授業では、「応急手当の意義と実際」の実習として、心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)を使った救急救命法を行っています。生徒が学ぶのに合わせ、教職員も一緒に参加し、万が一の場合に備えるようにしています。

〇突然、心臓や呼吸が止まった人の命が助かる可能性は、10分間を過ぎると急激に少なくなるといわれています。心肺蘇生法とは、この止まってしまった心臓や呼吸の動きを助ける方法です。また、突然心臓が止まるのは、心臓がブルブルとけいれんする「心室細動」が原因となることが多く、この場合には出来るだけ早くAEDによる電気ショックをあたえ、心臓の動きを回復させることが有効です。

〇ともかく心肺蘇生法、AEDの処置ともに、心臓が止まってから実施するまでの時間が早ければ早いほど、救命の可能性が高くなることが知られています。生徒たちも真剣な表情で話を聞き、ダミー人形を使って実習していました。

〇指導者からは、「実際に道端で人が倒れていたのを見かけたら、勇気をもって行動することが大切です。自分一人では何もできければ、近くの人に助けを求めましょう。その勇気さえあれば、もしかしたらその人の命が助かるかもしれません。」と呼びかけました。

 

〇生徒にはそのスキルを身に付けるというよりも、救急救命が必要な場面に遭遇したときに、「何をしたら良いか?」と尻込みするのではなく、この実習を経験して、自分には何ができるかを想像できるようになってもらいたいです。

〇もちろん我々教職員も、500名の生徒の命を預かっている立場として、危険な場面を想定しつつそれを回避できる「リスクマネジメント」の意識を高めておくことも確認できました。

須藤昌英

 

9月17日(火)生徒会役員選挙運動

〇先週の木曜日から今日まで、20日(金)に予定されている新しい生徒会本部役員を決めるための選挙に向けて、候補者とその推薦者が、朝は各学年の生徒昇降口で立って投票の呼びかけを行ったり、昼休みの放送で演説活動を行っています。

〇生徒会活動は生徒による自治活動です。生徒自らが考え、協議し、目標を定め、目の前の問題に取り組んでいく経験は、人として大きな成長をもたらしてくれています。その中心にあるのが、生徒会や委員会活動です。

〇具体的には当事者として自分たちの学校生活を点検し改善していくためのものです。このような民主的な活動によって、将来社会に出ても、自分たちの代表を決める選挙などに「無関心」にならないようにするのが目的の一つです。

〇立候補している生徒がもちろん、その生徒を推薦している生徒も、真剣に取り組んでいます。またそういう姿を見て、他の生徒も自立することの大切さを学んでいると感じます。

〇特に今年は、本物の選挙ポスターのように、質の高い情報が各学年の生徒昇降口に掲示されています。選挙管理委員会の生徒たちは、自分たちのリーダーを決める大切なプロセスを管理しています。

須藤昌英