校長雑感ブログ

校長雑感ブログ

5月8日(水)授業の目的と設計&1学年英語「Be動詞」

〇国の学習指導要領においては、各教科の指導に当たって、生徒に育成すべき資質・能力を育むことが明示されており、そのために本校では日頃より「主体的・対話的で深い学び」を目指した授業を展開し、常にその改善を図っています。

〇また千葉県教育委員会は、そのための手立てとして「『思考し、表現する力』を高める実践モデルプログラム」として、授業を4つの段階で構成することを提唱しています。

〇今日から本校の授業の様子を、先ほどの「見い出す」「自分で取り組む」「広げ深める」「まとめあげる」の起承転結で紹介していきます。それをご覧の上、6月の授業参観では生徒が実際にどんな学びをしているのかに注目してください。

〇昨日は入学して1カ月が過ぎて、徐々に学校生活にも慣れてきた1年生が、英語の授業に集中して取り組んでいました。もうすっかり中学生らしくなってきたのを見て、頼もしく感じました。

須藤昌英

 

5月7日(火)連休明けの観察と最優先の熱中症対策

〇ゴールデンウィークが終わり、また本日から通常の学校生活が再開しました。昨晩から今朝にかけてのお子様の様子はいかがでしたでしょうか?大人でさえ気持ちを切り替えるのが難しいですので、生徒たちも登校するにあたって様々な気持ちや葛藤があったかと思います。

〇今朝も正門で交通安全指導をしていると、富勢小の3年生が泣きながら歩いていました。声をかけると、すぐ手前まで母親と一緒に歩いてきましたが、急に不安になり足取りが重くなったそうです。富勢小の教頭先生に正門まで迎えにきてもらい、引き渡しました。おそらく中学生も大半が同じような心境でいると思います。

〇この時期にはよく「五月病」という言葉が聞かれます。主な症状としては、無気力・不安感・焦燥感などがあげられ、病名でいうと「適応障害」と診断されます。似ている症状に「うつ状態」がありますが、「うつ状態(病)」が、原因不明のストレス要因によって発症することがあるのに対して、適応障害は、生活・職場環境などの外的なストレス要因で発症します。

〇今週は学校でも生徒たちの様子をいつもより細かく観察しますが、ご家庭でもお気づきの点がありましたら、担任等にご相談ください

【連休明けの朝の教室風景】

〇連休中には最高気温が30℃を超える真夏日となる地域もあり、湿度が低ければ日陰では快適ですが、これからますます蒸し暑く不快な日が多くなると思います。昨年の猛暑を思い返すと、普通に生活しているだけでも大変です。大人でも体調管理が難しい時期ですので、服装の最適化(長袖などはさける)、帽子の着用(日傘の有効性も)、水筒持参(冷水、スポーツドリンクや麦茶などでミネラル分)、睡眠時間の確保(夜更かしをさける)などをご家庭で指導してください。

〇特に「熱中症」は、即いのちの危険にかかわります。本格的な暑さを迎える前に、体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」をすることが大切です。「暑熱順化」ができていないと、体の熱をうまく外に逃がすことができず、熱中症になる危険性が高まります。

〇暑熱順化には個人差もありますが、数日から二週間程度かかるそうです。また、一度暑熱順化ができていても、数日暑さから離れると暑熱順化の効果は薄れてしまうようなので、常に意識の継続が必要です。

須藤昌英

 

5月2日(木)失敗や葛藤は時間の無駄??

〇今日は柏市内一斉に教員の研修会があるため、生徒は3時間授業(給食無し)で下校となります。しかも明日からゴールデンウイークも後半で、4連休に入ります。時間をもてあまし「何もしないで一日ボーッと過ごすことが多い」という生徒もいるかもしれません。保護者会でも話しましたが、生徒の成長には失敗や葛藤があり、むしろその失敗や葛藤から学ぶ必要があります。失敗や葛藤を「時間の無駄」と切り捨てるのではなく、生涯にわたって学び続ける上には、この無駄と思われることが、案外科学的にも意味があるということがわかってきています。

〇それが脳科学の分野で研究が進んでいる「デフォルト・モード・ネットワーク(Default Mode Network)」という状態で、端的にいうと、「ぼんやりした状態の脳が行なっている神経活動」のことです。ある一つのことに集中したり注意が払われたりするのではなく、ただぼんやりとしてあれやこれやと雑念している時や睡眠中の脳が示す神経活動のパターンのようです。

〇これはよく車のイメージに例えられ、デフォルト・モード・ネットワークは、車のエンジンのスイッチはONですが実際には走行していない時の「アイドリング状態」です。日常生活の中で、何も考えずにボーッと散歩しているとき、一息つくために好きな飲み物を飲んでいるとき、身体がリラックスした状態で入浴をしているときなどに、デフォルト・モード・ネットワークは活発化しています。

〇脳神経外科医の奥村歩氏によると、脳は以下のプロセスで情報を処理しているのだそうです。

1 入力(インプット):五感を通して情報を収集する

2 整理:(DMN)入力した情報を取捨選択する

3 出力(アウトプット):言葉や行動として表す

デフォルト・モード・ネットワークが重要になるのは、2番目の「整理」段階で、この状態で自分の過去の経験や記憶を整理・統合したり、これから起きる出来事にどう対応したりするかを想定しています。

〇逆にデフォルト・モード・ネットワークの働きが弱いと、脳内で情報が整理されず、物が散乱した机上のような「脳過労」状態になり、インプットした情報が脳に定着しづらくなったり、脳の活動自体が低下してスムーズなアウトプットにつながらなかったりするといった恐れがあるそうです。脳内にたまった情報をスッキリと片づけ、脳疲労を防ぐためにも、DMNをオンにすることは重要です。

〇一番注目したいのは、デフォルト・モード・ネットワークの働きは「創造性」と関係しているらしいことです。これが活発になるとあらかじめ蓄えられた情報がそれぞれ結びつきやすくなり、新しいアイデアや発想が生まれやすくなります。私も先ほどのように散歩などをしてリラックスして過ごす時間に、フッと「そうだ!あれをやってみよう」などの思い付きがあります。これを実行に移すアウトプットは、どこか楽しくたとえ予想通りの結果が得られなくても、次のチャレンジの意欲につながっていることが多いです。

〇ただデフォルト・モード・ネットワークが活発化していると、脳内では通常時よりも数倍以上のエネルギーを必要としているそうです。つまり「ボーッ」としている方が、何かを考えているときよりもエネルギーを使っていることは意外な感じがしますが、それほど重要だともいえます。

〇4月からの新生活でどの生徒も心身の疲労があります。明日からの連休中、もしお子様が自宅でボーッとしていてもあまりとがめないでください。その時間、脳はその子に新しいアイデアを用意してくれているかもしれません。ぜひ「何か思いついた?」のような声掛けをしてあげてください。

須藤昌英

5月1日(水)対話活動の大切さ(学びはわからないことから始まる)

〇昨日と今日、明日は、連休の間ということもあり、朝登校する生徒の表情も様々です。「明後日からまた休みだから、今週はこの3日間だけ頑張ればいい」と思っている生徒、「この3日間も休みなら、もっとゆっくりできるのに・・」と思っている生徒。言葉にはしませんが、だいたいそんなところではないでしょうか。

〇先月から行っている教職員との面接の中で、生徒の授業中の様子を聞き取っています。特に気になるのが、答えがわかっていても発言を避けたり自分の考えを表現することが苦手だったりする生徒がどのクラスにもいることです。生徒の心理面からすると、自分の考えに自信がないことで、発表や質問をしたがらない傾向がありますので、授業の中で意図的に、2人組のペア学習・それ以上の複数人のグループ学習などの小集団交流を取り入れることで、生徒が自分の考えを表現しやすくしたり他者の考えを取り入れたりすることを行っています。

〇指導者側からすると、生徒にペアやグループでの学習による深め合いのよさを実感させることが一番難しく、もしそれが理解できれば、生徒は自ら進んで対話活動をすると思います。学習指導要領が唄う「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、自分の考えを表現し、考えを深め合うことが欠かせません。

〇特別支援学校の主任教諭である川上康則氏は、その著書「教室マルトリートメント」の中で、ペアでの活動等のメリットを次の5つで示しています。

①インプットしたことをアウトプットして記憶に残す

②理解レベルや活動の進捗状況をそろえる

③他の人のフィルターを通して学ぶ

④集中を続けるために、いったんガス抜きする

⑤考えを整理させたり、発表に自信をもたせる

〇教職員には授業を進める中で、次のようなことを意識してほしいとお願いしています。

・意見の交流をためらいなくできるクラスの雰囲気(生徒同士の人間関係を含む)を構築しつつ、各自の発言を共有し、「分からない」や「間違い」から学びが始まることや意見や質問し合うことが深め合うことにつながることを理解させていく。

・生徒自身の気付きや考えから、授業を構成する視点をもち、冒頭の学習問題を工夫して提示し、既習事項との違いに気付かせ、生徒自身に今日のめあてを設定させる。聞く、読む、書く、話すなどの言語環境を整備し、自分の考えをもたせ、自分なりの納得解(まとめ)へと導く。

〇私達教職員の間では、昔から「授業は生もの」といわれ、その時間のゴールは設定しますが、生徒の反応によってどっちに転ぶかわからない面もあります。それが面白いところでもあります。

須藤昌英

4月30日(火)教職員と面接を行っています

〇本校には私を含めて46名の職員がいて、それぞれの役割や仕事を担うことにより、生徒の健やかな成長・学びに資するように努めています。職員とは職員室などで毎日、予定の確認や連絡事項などの会話をしていますが、なかなか座ってじっくりと意見交換をすることは4月に入ってこれまで出来ていません。そこで先週から、私と職員一人ひとりと年度当初の面接を行っています。

〇生徒にも個性があるように、職員にも一人ひとりいろいろな持ち味が違います。しかし生徒と一緒に学び成長したいという気持ちから共通していることも多いです。例えば明るく誠実さをもって、生徒の考えや意見をしっかりと受け止めようとする「人間性」、また教育公務員として自覚と情熱をもち、生徒の興味関心や発言を引き出すための工夫をする「資質・情熱」、そしてさらに教員としての識見を一定以上に備え、授業のねらいを明確にして、生徒の発達段階と場に応じた指導をする「指導力」などです。

〇ただしこれらはすべて最初から身に付けているわけではなく、私も過去にそうでしたが、日々目の前の生徒と接している中で、嬉しいことやうまくいかずに悩んだことなどを自ら内省し、それを次にいかしていこうとする努力によって、段々と自然に仕込まれていくものです。 

〇校長にとって、職員との面接の機会は貴重な時間です。まずは次のような学校経営の理念を理解してもらうことを目的にしています。

①   生徒の学びを引き出すファシリテーターの教職員

基礎・基本となる知識・技能の定着を図り、それを応用する力、活用する力を育む学習指導を行い、「確かな学力」を身につけさせる。

②   生徒の生活に寄り添うアドバイザーの教職員

生徒一人ひとりの個性や能力を生かした集団づくりに努め、個と集団の成長を促す生活指導を推進し、豊かな心と健やかな体を育む。

③   教職員組織の一員(調整・連携)

校務に関する業務内容と意義を理解し、計画的に取り組み、情報と課題を共有し、的確に業務を遂行する。

〇そしてそれ以上に、職員が先ほどのような自分の良さを気づいていない場合にはそれを伝えつつ、可能な限り本音の部分を傾聴していくようにします。職員の個性やもっている力を把握し、さらに伸ばしてもらい生き生きと働いてもらうことが、必ず最後はそれが生徒への教育にも還元されていくと思います。

〇学校を企業に例えると、「主力商品は授業」でありますので、授業を担当する職員から、「単元のねらいや生徒に身につけさせたい資質能力」、「生徒が困難と感じる点やその克服のための指導上の工夫」などを聞き、私がその授業を来月からホームページで紹介していくための日程を調整しています。

 須藤昌英

【正門わきのハナミズキ】