校長雑感ブログ

校長雑感ブログ

7月17日(水)ゴミゼロボランティア活動(2・1学年)&給食最終日

〇5月に3年生がゴミゼロボランティア活動を行いましたが、その後2年生が6月に、1年生は本日の朝に行いました。目的を2つに定め、1つ目は地域の中にある学校の生徒として、自分達の住んでいる町を綺麗にし、愛着と誇りをもてるような中学生になること、2つ目は水曜日の「ノー清掃デー」を継続するためには、日頃からゴミを落としたり汚さないようにしたりする意識を育て、来年度は週2回の「ノー清掃デー」を可能とすることとしました。

〇2年生は3年生と同じく、クラスごとに約2㎞を60分間で歩く5コースを決めました。林間学校でも集団行動を経験していますので、まったく問題なく終了しました。

 

〇今朝の1年生は、放課後の暑さを避けるために朝7時に登校し、近くの高野台公園までの往復と公園内で行いました。特に歩道には吸い殻や飴の包み紙等、公園内の生け垣の見えないところに缶、瓶、ペットボトルが多く、生徒たちは一生懸命に拾っていました。

〇最後に一緒に参加して下さった上橋市議会議員さんと山本PTA会長さんから、お褒めの言葉をもらいました。高野台公園では、来月に地域の盆踊りが行われますので、自分たちの力が地域に貢献していることを生徒たちは感じていたようです。

 〇1学期最後の給食でした。給食調理員さんたちは、毎日暑い調理場内で栄養たっぷりのメニューをつくってくれています。できるだけ食べ残しを少なくすることが、せめてもの感謝の気持ちのあらわれになります。

須藤昌英

7月16日(火)「行動の記録」について

〇通知表の右側にある「行動の記録」には、次の10項目あります。

「基本的な生活習慣」「健康・体力の向上」「自主・自律」「責任感」「創意工夫」「思いやり・協力」「生命尊重・自然愛護」「勤労・奉仕」「公正・公平」「公共心・公徳心」

〇私も学級担任をしていた際には、「基本的な生活習慣」「健康・体力の向上」「自主・自律」「責任感」「勤労・奉仕」「思いやり・協力」などは、日頃からの観察や本人とのやりとりなどにより比較的に客観性をもって評価することが可能でした。

〇しかしその反対に「創意工夫」「公正・公平」「公共心・公徳心」などは、外からは見えない部分も多く、担任だけではどうしても主観が入りやすくなります。そこで副担任や学年職員とも日頃から各生徒の様子や言動について情報を集め、その中から本人の長所や成長について評価しようとしていました。

〇教育評論家で都留文科大学特任教授の石田勝紀さんは、「賢い頭脳をつくる問いかけワード」として次の10個をあげています。生徒に教える教員の立場からもとても参考になります。

1:「なぜだろう?」(「原因分析力」をつくる)

2:「どう思う?」(「自己表現力」をつくる)

3:「どうすればいいと思う?」(「問題解決力」をつくる)

4:「要するに?」(「抽象化思考力」をつくる)

5:「たとえば、どういうこと?」(「具体化思考力」をつくる)

6:「楽しむには?」(「積極思考力」をつくる)

7:「何のため?」(「目的意識力」をつくる)

8:「そもそも、どういうこと?」(「原点回帰力」をつくる)

9:「もし〜どうする(どうなる)?」(「仮説構築力」をつくる)

10:「本当だろうか?」(「問題意識力」をつくる)

〇石田氏は「『地頭』とは、どこでも、どのような時代でも生き抜いていけるだけの素地」と定義しています。また「『地頭』はスマートフォンやパソコンのOS(基本ソフトウエア)のように、アップグレードしてそのパフォーマンスを上げられ、知識やスキルをインストールして、効果を最大化させることができる」と指摘しています。

〇石田氏が「地頭はOSと同じ、これからはもっと地頭が求められる」と結論づけていることに関し、私は先ほどの「行動の記録」の10項目は、まさに別の視点から、「地頭」について表現しているのではないか?と感じています。

〇具体的には、毎日決まった時間に起床し、昼間に活動し、夜もほぼ同じ時間に就寝する(基本的生活習慣)や目の前のやるべきことをやらされてやるのではなく、自らやってみようとする(自主・自律)など、単に勉強ができるレベルの「頭の良さ」ではなく、生活を基盤とした「学び続ける姿勢」が重要だと思います。

〇激しく変化する社会においては、今この瞬間の最新の知識・技能も、明日には古いものになる可能性があります。これからその社会に出て生きていく生徒たちには、常に新しい知識・技能に反応し、必要に応じてそれを身に付けていく資質・能力が不可欠です。

〇通知表の「行動の記録」には、その生徒に合った資質・能力が順調に育っていくことを願うような「隠れた意義」があることも知っておいていただけるとよいと思います。

須藤昌英

 

7月12日(金)絶対評価と観点別評価について

〇来週の1学期終業式に手渡す通知表の作成を行っています。学期はじめの保護者会で説明しましたが、学習成績の確定については、絶対評価(達成目標を規準にした評価)で行っています。

〇平成13年(今から23年前)までは、相対評価でした。相対評価とは、集団の中で生徒の学習がどのあたりの位置にいるのかで評価しようとしたもので、具体的には、「5」と「1」をつけるのは全体の7%以下、「4」と「2」は24%、残りの「3」は38%を目安として、一定の割合で評定をつけるものでした。これは統計上の正規分布の理論に基づく科学的な評価算定でしたが、もともとの母集団によって、その中にいる個人の成績が左右されるという短所が指摘され、その後絶対評価に変わりました。

〇一方で絶対評価とは、定められた目標の基準によって、個人のレベルを評価する方法です。所属する集団のレベルに左右されず、個人が目標の基準を満たしているかどうかで評価を行いますので、個人の努力に応じた成績への反映や、評価結果に基づく生徒の自己啓発への動機付けなどに有効です。

〇そこでその絶対評価のもとになるのが、観点別評価です。詳細は、すべての教科で統一された3つの観点「主体的に学習の取り組む態度」「思考・判断・表現」「知識・技能」において、「A:十分満足できると判断される」「B:概ね満足できると判断される」「C:努力を要すると判断される」で評価します。その3つの観点で例えば、「A」「A」「A」であれば、「5」、「A」「A」「B」であれば、「4」、・・・と数値への評価に換算します。

〇そこで、その3つの観点の評価基準が明確に確立していることが重要で、例えば「主体的に学習に取り組む態度」であれば、授業中の忘れ物の有無、発言回数、自己評価表の内容、ワークブックなどの提出物から評価したり、「思考・判断・表現」であれば、ノート上での思考の場面や普段の発言内容などから評価したりします。定期テストは主に「知識・技能」に反映しますが、技能教科(音楽・美術・技術家庭・保健体育)では、作品やパフォーマンスなどに重きを置いています。

〇我々教職員は、生徒に「教えること」と生徒を「評価すること」をほぼ同時に行っていると思ってもらえばイメージがわくでしょうか。もちろん「教える」が十分でなければ、「評価する」ことも出来ませんので、日々授業への準備(教材研究)は欠かせません。

〇通知表のもとに1学期を振り返ってもらい、夏季休業中の面談でもその話題にふれ、生徒の頑張りとこれからのやる気を引き出していきたいと思います。

須藤昌英

【3つの資質能力と観点】

7月11日(木)2つのスパイラル(螺旋階段)

〇先月に行った1学期期末テスト後に、何人かの生徒に声をかけてみると、「テスト勉強は自分では頑張ったけど、戻ってきた結果が思い通りでなかった」「普段から勉強が苦手なので、テストははっきり言って気がすすまないです」などの気持ちを聞きました。それに対しては私の方は、「結果よりも頑張ったプロセスがきっと次にいきてくるよ」と毎回励ましています。

〇私自身の生徒としての経験及び教師としての経験の両方から、学びの努力とその成果が比例することはとてもマレであり、大抵は努力したことがすぐに成果に結びつかないことが多いです。ただ辛抱強く、人によって違いますが、数カ月程度努力を積み重ねていくと、ある日突然雲が晴れたかのように、望ましい結果が出始めることは、その経験した人からよく聞く話です。

〇この辛抱する力がないことで、必要な努力を避けたり、結果が出る前の失敗や諦めを理由に、学ぶことから距離をおき始める生徒を見たりすると、とても「もったいない」と感じます。確かに学ぶことによって、知識や技能は身につきますが、それ以上にものの見方や思考力、表現力などが養われ、自分の可能性が広がっていくことが重要なポイントです。

〇先日も書きましたが、学んだことを確実に身に付けていくには、分からなかかったことや間違ったことを定期的に振り返り、その手当て(補充)を逃げずにやるかどうかで決まります。生徒によっては、「なぜ間違ったのか?」と自分が納得するまできちんと考えることができます。そのことを回避したままで、ただ表面的に「正解だけを丸覚えしよう」とするだけでは、意欲も継続できまでんし、理解も深まりません。

〇普段から授業の中で、どんなにささいなことでも、「おもしろい」「なるほど」などの興味を持ち、「やってみよう」「できるかも」と経験を積みかねていくこと(正のスパイラル:登りの螺旋階段)が得意な教科になるきっかけになります。一方で、逆の負のスパイアラル(下りの螺旋階段)に陥ると、なかなか抜け出すことが難しくなります。

〇少しの成果でも、準備に取り組んだプロセスを自分で、また周囲からも認められることで、やる気の持続につながります。学校でも職員がそれを意識して見守っていきますが、ご家庭でもお子様の成長面を確認していただき、夏季休業中の面談で担任にお伝えしていただきますようお願いいたします。

須藤昌英

7月10日(水)いじめアンケート

〇毎学期ごとに行う全校生徒対象の「いじめアンケート」を先日実施し、現在その対応中です。アンケートの冒頭には、「学校生活を送っていく上で、困っていることや、相談したいことがあったら、教えてください。」とし、いじめだけでなく、その他の相談事項も記入できるようになっています。

〇アンケートを行う際には、一斉に行い秘密を厳守することはもちろん、記入時間もしっかりと確保し、誰かが書いていることを周囲の人が勘ぐって、終わった後に変な噂が流れないようにすることまで配慮しています。

〇1学期は8件のいじめに関する相談がアンケートでありました。その内容は、「冷やかしやからかい、悪口や嫌なことを言われる」が多く、すべて当事者に事情を聞き、事実確認や必要に応じて当該生徒への指導、保護者への連絡を行なっています。

〇過去にはその他に、「仲間はずれ、集団による無視をされる」「ぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたりする」「金品をたかられたり、壊されたりする」「嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」「パソコンや携帯電話等で、誹謗中傷や嫌なことをされる」などがありましたが、いずれもいじめの解消に同じ手順で対応しています。

〇平成 25 年6月に「いじめ防止対策推進法」が成立し、同年 9 月から施行されました。この法の目指すところは、第1条に以下のように示されています。

「いじめが、いじめを受けた児童生徒等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童生徒等の尊厳を保持するため、(中略)いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。」

〇いじめは、相手の人間性とその尊厳を踏みにじる「人権侵害行為」であることを改めて共通認識し、生徒がこれから生きていく上で、人権を社会の基軸理念に据えて、社会の成熟を目指していくように促すことが重要です。

〇法第2条には「この法律において『いじめ』とは、児童生徒等に対して、当該児童生徒等が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒等と一定の人的関係にある他の児童生徒等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒等が心身の苦痛を感じているものをいう。」と規定されています。

〇つまり、相手に対して故意で意地悪をしたのか故意ではなかったかに関係なく、その行為によって相手が「嫌な気持ち」になったと感じたならば、すべて「いじめ」として扱います。時々「そんなつもりではなかった」と話す生徒がいますが、たとえそうであったとしても、法でそう決まっている限り、学校では事実を確認して、その状態が継続しないように対応していきます。

〇またこのアンケートでは、自分ではなく周囲の友達がいじめ被害にあっている、またはいじめに関与しているなどの第三者的な情報が書かれていることもあります。教職員がすべてのいじめを感知できるわけではないので、この場合にも前述のように事実確認から始めていきます。

〇またいじめの案件については、学級担任や学年職員だけにとどまらず、全職員でその後の見守りや声掛けをしています。大人の世界でもいじめは存在しますが、これから社会に出ていく中学生には、正しい人権意識と自分ならどう行動するかの当事者意識を育ててあげたいと思います。

須藤昌英

【柏市教育委員会「いじめ問題対応の手引き」より】