校長室より

ラグビー日本代表に思う

試合の中では、相手の身体を壊そうと思えば壊してしまえるような状況がしばしばある。しかし、そこで人間としての最後の一線を越えることなく、どんなに激しい戦いの中でもお互いにルールを守り、その中で最大限の戦いを繰り広げようとする。そこがラグビーの素晴らしさであるし、そういう本質を理解しているチームを相手にするからこそ、対戦相手に対するリスペクトの気持ちも生まれてくる。

そういうラグビーの本質にあるのは「多様性」だと僕は思う。ポジションによって身体つきも、持っている個性も、みんな違っている。ゲームの性質から考えても、チームの中で自分だけがハッピーになればいいという気持ちでは、いい試合を戦うことはできない。

そして、仲間のために頑張ろうと思ってプレーするからこそ、見ている多くの方に勇気や感動をおとどけすることができる。

こうした経験を積んだラグビー選手の多くは、現実の社会に出ても、人に対してバリアを張ることなく、個性を認め合い、たとえば「この人のこういう良さを自分に引き入れれば、自分ももっと良くなるのでは」と考えるようになる。だからラグビーは社会的にも意義のあるスポーツと言えるだろう。


「ラグビー知的観戦のすすめ」 廣瀬俊朗 著(角川新書) より抜粋

現在3年生と校長面接をやっています。「あなたが今関心のあることは何ですか」という質問に対し、多くの生徒がラグビー日本代表の躍進を上げます。私自身、今までそんなに興味を持っていなかったこのスポーツに、圧倒的に魅了されています。紹介した本を読んだとき、相手に対する「敬意(リスペクト)」と「多様性」という言葉に強く惹かれました。ベスト8と言わず、オールブラックスを倒して優勝してほしいと思っています。