創立79年目 学び成長し続ける富勢中
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2024年11月の記事一覧
11月17日(日)避難所開設運営訓練
〇昨日の午後は、富勢地区として初めて本校体育館を避難所とした開設・運営訓練を行いました。富勢地区(小学校3校、中学校1校、高等学校1校)は、布施近隣センター長が災害本部長となり、柏市職員25名が割り当てられています。そこへ各地区の防災担当者の方が加わり、受付、駐車場設定、パーテンション設営、臨時トイレ設置、ペット受け入れなどの役割分担で行ないました。
〇振り返ってのワークショップは、私がファシリテーターとなり、
① 実施する意義や成果点
② 実施した課題・改善点
③ 次回へのアイデア
について話し合いました。今回は本校で行ないましたが、次は各校でも実施したいとの意見が出ました。
〇市役所職員、ふるさと協議会会長、富学協会長、本校職員、本校生徒6名で宿泊体験しました。夕食後、体育館の大スクリーンで「すずめの戸締り」という映画を鑑賞しました。日本各地の廃墟を舞台に、ミミズという大地震を起こす怪物を止めるために、主人公のすずめが旅をしながら成長していくストーリーでした。
〇日本では大昔から大地が揺れるのは、ナマズなどが暴れるということが信じられてきましたが、今は科学的日本列島は「地震の巣」であることが判明しています。少しでも避難所が地域の方々の安心できる場所になってほしいと願っています。
〇中学生は来週の期末試験に向けて、体育館で勉強もしました。たださほど寒くなく助かりましたが、広い体育館で寝るのは、慣れないと難しいと感じました。
須藤昌英
11月16日(土)花鉢配付ボランティア活動&避難所開設体験
〇本日、富勢地域ふるさと協議会及び各町会・自治会の皆さまとボランティア生徒70名が一緒に、これまで育ててきたビオラの花鉢をお手紙と一緒にご高齢の方のお宅に伺って、配付してきました。
〇受け取っていただいたご高齢の方々からは、中学生が届けてくれたことに、感謝の言葉がありました。中には、「孫が富勢中にお世話になっています。」と話がありました。同じ地域に住んでいるからこその「こぼれ話」です。
〇生徒は大人になるにつれて徐々に人間関係を広げていきますが、彼らにとって親や教師は「縦の関係」、兄弟姉妹や雄人は「横の関係」なのに対し、地域の方等は「斜めの関係」だとよく言われます。「縦でも横でもない斜め」であることで、気軽にしかもあたたかく見守ってくれる存在であることが、彼らの心理状態を安定させます。
〇さらに「有難う」「頑張ってね」と声をかけてもらうことで、「自分も役にたっている」「良いことをすると気持ちいいな」と、自分の存在を見つめなおしたり自己の有用感を高めたりできます。
〇11月としては暖かく小春日和で、参加した生徒たちも「最初は緊張しましたが、あたたかく迎えていただき、良い経験ができました」と感想を言っていました。これからこの地域を支えてくれる生徒たちに、地域への愛着心が芽生えてくれると、このボランティア活動の目的にも沿ったことになります。
須藤昌英
11月15日(金)秋の収穫
〇一昨日は、柏市制施行70周年を記念して、市内小中学校及び公立保育園にて柏市産の食材を使用した特別給食でした。メンチカツやかぶのすり流し汁、ヒジキと彩野菜の和え物は、どれも美味しく、まだまだ柏市は農業が盛んだということを実感しました。
〇昨日は、校内の畑で栽培しているカブとサツマイモの収穫をあすなろ学級の1年生が行いました。特に9月に畑を耕し、種をまいてもう収穫できるのですから、かぶの成長はすごいものです。
〇かぶは、一般的には肥大した根の部分を食用としますが、葉にも栄養素が多く含まれています。また、春の七草の「すずな」はかぶのことです。かぶの原産地は、アフガニスタンあたりか地中海沿岸の南ヨーロッパを加えた地域とされています。ヨーロッパでは紀元前から栽培され、日本には弥生時代に大陸から伝わったと言われています。初めて知りました。
〇サツマイモの原産地は中央アメリカで,15世紀末頃スペイン・ポルトガルに伝わり,さらに東南アジア,中国,琉球へと伝わったと推定されています。 日本への伝来ルートの主流は沖縄(琉球)からと考えられているそうです。サツマは薩摩(鹿児島県地方)のことですので、こちらは何となく知っていた気がします。
〇昨晩は獲れたてのかぶ(白い実と緑の葉)の味噌汁を自宅で食べました。意外なことに実よりも葉のほうがシャキシャキして美味しかったです。
〇また本校の中庭には、ゆずの木があります。こちらは果実ですので、木から上手に用務員さんが収穫してくれました。ゆずは独特の香りと、果皮の黄色が鮮やかです。数個いただきましたが、それだけで帰りの車内は良い香りにつつまれました。この特徴を生かして、昔からお吸い物などに広く利用されています。
〇ゆずの故郷は、中国の揚子江上流が原産といわれています。日本には唐の時代に北京地方から朝鮮半島を経て渡来したようで、日本にも古くから山口・徳島県に野生のゆずがあります。奈良時代にはすでに、薬用や食酢としての利用を目的として、栽培されていたことが記録に残っています。
〇特筆すべき点は、ゆずは種子をまいてから結実するまで、長期間を要するため、俗に「桃栗3年、柿8年、柚は9年で成りかかり、梨の大馬鹿18年」といわれています。9年間は人間でいえば丁度小中学校合わせての義務教育期間と同じですので、3年生で希望者する生徒には受験勉強の励み(香りを楽しんで気分転換)になるように、特別に分けてあげようかと思いました。
須藤昌英
11月14日(木)「リフレーミング」の訓練
〇リフレーミングという言葉は、「認識の枠(フレーム:frame)を改める(re)」ことを意味します。リフレーミングとは、物事を別の角度から解釈し直すことで、簡単に言えば、一つの視点ではなく、いろいろな角度からの見方をすることにより、嫌なことや苦手なことをポジティブ変換する「思考テクニック」です。
〇よく使われる例えとして、目の前に水の半分入ったコップがあったとして、これを「な~んだ半分しかない ⤵」と思うか、それとも「よしまだ半分もある ⤴」と思うか。水の量という事実を変えることはできなくても、その事実をどう解釈するかで、感じ方は大きく変わります。これはだれもが日常生活で経験すみだと思います。
〇リフレーミングには、いくつかの効果が期待できます。モチベーションアップや自分に自信がつく、ものごとへの苦手意識が弱まったり人間関係が良くなったりすることが心理学の面から報告されています。3年生の校長面接では何人かの生徒に、「確かに苦手なことに取り組むのは気がひけますが、『何でも初めから完璧にできる人はいない!』『自分の可能性をのばす絶好のチャンスかも!』ととらえると、『まずはやってみよう!』となりますね。」とアドバイスしました。
〇リフレーミングは主に2種類あり、一つは「今の自分の状況・事実」をリフレーミングしてみること。例えば、病気でしばらく休んでいなければならない時、最初は「あれもやらないと、これも遅れてしまう」ばかり思っていまがちですが、「休んでいる間、自分自身や仕事についてゆっくり考えられる」と気持ちが変わると、「休んでいる間にできることをやろう」と思いなおせます。
〇また「自分の性格や行動の傾向」をリフレーミングすることも多いです。例えば、いつもいろいろなことに「心配性な人」も、「想像力があり慎重にものごとをすすめることができる」と切り換えると、また違ってきます。ただこれは、なかなか自分では気が付きにくく、他人からのアドバイスが大きなポイントをしめると思います。
〇ネットなどで調べると、「リフレーミング辞典」というものがあり、私も時々参考になるので、眺めています。冒頭に書きましたが、これは思考テクニックですので、ある意味訓練する必要があります。最初は「こんな言い換えは不自然で違和感がある」と思いがちですが、そういう感情を抑えて、無理やりでも受け入れてしまうことが大切です。
〇先日の3年生は、「自分の短所は『面倒くさがり』のところです」と言っていたので、私からは「それはおおらかなことまたは細かいことにこだわらないという良い面とも言えますね」と返しました。私も「少し強引すぎたかな?」と思いましたし、本人はキョトンとしていました。ただこちらも訓練して何とか相手に前向きなってほしいとの気持ちがありますし、本人も後から少しでもその言葉が頭に残って、「そういう見方もあるかな?」のように受けて止めくれるといいのですが・・・と願っています。
須藤昌英
【リフレーミング辞典の一部】
11月13日(水)自分の身体と向き合うこと
〇2年前の11月に自宅で発熱、その晩にコロナの陽性が発覚、次の日から7日間自宅で療養するという経験をしました。当初は家族の中で最初に、同居している母が喉の痛みを訴え、咳をし始めたので、家の中で生活する動線をわけるなどの警戒をしていました。
〇ところがその母はその後発熱はせず、回復に向かいました。それと入れ替わるように、私も含めた家族が喉に違和感を覚え、咳が始まったのちに発熱しました。その夜は発熱外来は受け付けしてもらえず、薬局で抗原検査キッドを購入して、すぐに「陽性」が判明しました。
〇コロナそのものに対する薬は手に入りませんでしたので、喉、咳、鼻水への処方箋を服用しつつ、ひたすら自宅に引きこもりました。幸い食欲はありましたので、お粥を中心とした食事をとり、徐々に身体に力がみなぎってくる感覚を今でも覚えています。
〇この夏あたりから少しずつ中学生にもマイコプラズマ感染症が流行しているという話を聞いています。少し調べると、風邪のような咳・鼻汁から始まり、咳や発熱が長く続くのが特徴で、特にマイコプラズマによる肺炎になると、頑固な咳をともない、一部の人は重症化したりするようです。また、一度かかっても何度でもかかりうる感染症のようです。
〇専門家は「命を奪うほどの肺炎ではないので、過度に恐れる必要はないが、子どもがごはんを食べず、ぐったりしている状況は普通ではないので、病院を受診して水分を補給したり、栄養をとったりすることが必要になってくる」と話しています。
〇またその上で、感染対策について、「コロナ禍のころを思い出してもらい、飛まつ感染を予防するためには、マスクを着けることやこまめに手を洗うことがいい方法だと思う」とアドバイスがあります。
〇肺炎となると呼吸がしにくくなるのはよく聞きますが、私の場合に2年前のコロナ感染で、呼吸の困難さを感じました。健康な時には気づきにくいですが、生きる上でいかに「呼吸」が大切かということを考えさせられました。
〇高熱や咳が出ているときも、無意識に呼吸はしていますが、そういうときこそ少し呼吸に意識を向けて、まずはゆっくりと身体中の息を吐き出しますと、その反動で新しい空気が自然と入ってきます。呼吸が深くなると精神的な不安も少し和らぎます。
〇よく病院の診察時などでも、まずは「吸って」、次に「吐いて」の順で医師から指示されますが、本当は順番が逆で、しっかりと「吐く」と、自然と「吸える」のか?と思いました。咳止めなどの処方箋も確かに有効ですが、局所的ではなく、身体全体をケアし、本来もっている「自然治癒力」を最大限に引き出すには、呼吸を整えることが一番簡単にできることだ!と感じました。
〇コロナの時には、若者が後遺症に悩んでいるという話をよく聞きました。一定の期間が過ぎても、嗅覚・味覚障害や強い倦怠感が多く、中には発熱や呼吸困難など日常生活に支障をきたしているという相談事例も多かったようです。今回のマイコプラズマ感染症に関しての後遺症も心配になります。
〇風邪やインフルエンザ等に感染した際には、発熱や咳などの症状が出ますが、それらはしっかりと体を守ろうとしている「身体からのサイン」だそうです。発熱などの原因のほとんどは、身体が病原体と戦い、体を守るための生体防御反応なのです。そのサインに素直に耳を傾け、休養することが何よりも大切であり、たとえ受験生と言えども決して無理をしないようにしてほしいです。
須藤昌英
11月12日(火)「ゲーム」との付き合い方
〇校長面接などで、3年生に「受験勉強をしている時の気分転換の方法は?」と尋ねると、8~9割の生徒が「好きなゲームをしています」と答えます。そこでさらに「気分転換のつもりが、そのままハマってしまうことは?」と続けると、大抵の生徒が苦笑いし、「それが悩みです・・」のように打ち明けてくれます。
〇過去に担任していた生徒から、同じようなゲームに関する質問を投げかけられたことがあります。「どうしたらゲームをやめられますか?」と。私は答えました。「方法はただ一つしかないよ。それはそのゲームの攻略法を徹底的に友達から教わってからやってごらん。わかると思うけど、そんなのはつまらなくてすぐに止めてしまうでしょ」。
〇少し逆説的な言い方ですが、そのように何もかも教えてしまっては、人はまったく面白みを感じないのです。どうしてかと言うと、ゲームの中で「自分で選択する機会」が前もって奪われ、冒険心や挑戦心などのやる気のもとがなくなってしまうのです。
〇私が「ゲーム」と聞けば、今から40年前以上に流行したインベーダーゲームを思い出します。当時はまだ自宅で行うゲーム(ファミコンなど)は販売されていませんでしたので、高校生だった私はゲームセンターで夢中になりかけていました。ただ段々とゲーム以外のことが忙しくなりゲームセンターに行くのも億劫になったので、お小遣いを使い果たすようなところまではいきませんでした。
〇しかし今は自宅でゲームが当たり前ですので、生徒たちが自らの制御力でゲームをする時間をコントロールしなければならない状況です。自宅でできる便利さはありますが、逆にゲームとの程よい距離を保つことが難しくなっています。先ほども書きましたが、生徒がゲームの中で自分が主役となり、「主体性」をもって課題に挑戦していくことは、人間の本質にあったゲームのプラス面であり、否定されるべきではありません。
〇ただ先日、You-tubeの対談で、東大名誉教授の姜尚中(カン・サンジュン)氏が指摘していたことも気になります。姜氏は「人生(実社会)はゲームではない」とし、「(要約)現代は政治、経済、人間関係などのすべてが、ゲーム理論に基づいて処理されている。ありとあらゆる領域から集めた情報をアナリストが分析したりそこからシュミレーションしたりして、現場の様子はモニターでみるだけ。そこに強烈な違和感をもつ。しかし実際に目の間で起きていることはもっと複雑で、ゲーム理論だけでは到底説明しきれない」と鋭く述べています。
〇これを見ながら深く考えさせられました。ゲームの良さは認めつつ、そこから実際の生活にいかに戻ってくるか。冒頭の受験生の悩みは、決して子どもの問題ではなく、我々大人も直面している問題だと思います。
須藤昌英
11月11日(月)富勢地区文化展&三学年期末テスト
〇先週末の土・日曜日は、富勢地区ふるさと協議会主催の文化祭の中の展覧会が、布施近隣センターで行われ、本校の美術部員が書いた「富勢中の風景画」を出品しました。
〇ここには、富勢小、富勢東小、富勢西小、県立柏高校からの作品もあり、児童生徒の感性の豊かさを感じ取ることができました。絵の構図や色使いは、大人では描けない自由さがあり、素晴らしいと思いました。
〇私もそうでしたが、中学生くらいになると、「見たままを忠実に描くことを基本にした絵画(写実絵画)」を描きたくなるようです。 ただその作風は生徒個人によってさまざまであり、だからこそ同じような情景を描いても、表現されたものはそれぞれ全く違うものになります。
〇先日も放課後の校庭で、一人の女子生徒が本校の正面玄関あたりを描いていましたので、「出来栄えはどうですか?」と声をかけたところ、うれしそうに「まあまあです」と答えていました。
〇どの生徒も何度も何度もスケッチして彩色するという作業を繰り返していました。彼らの描く絵には、集中して一つの作品に取り組んだ「時間の痕跡」が感じられます。この時間の積み重ねこそ大切であり、描かれるものにはその瞬間しかない美しさと儚さがあり、その経験が作者にとって次の作品のベースになるのだとかんじます。
〇今日と明日は、三年生のみ2学期の期末テストを行います。今日は、社会、国語、英語の3教科、明日は数学と理科の2教科です。
〇「なぜ3学期の期末テスト三学年だけはやく行うのか?」は2つの理由があります。一つ目は、高校入試の際に中学校が高等学校へ提出する「調査書(生徒の3年間の生活及び学習の記録)」を作成するために、3学年の学習評定を確定することが必要になります。一及び二学年の学習評定はすでに確定していますが、三学年は1学期及び2学期の学習の様子を総合的に勘案します。そしてまず、そのもとになる「保護者連絡票」を作成し、本人及び保護者に内容を確認してもらった上で、正式な「調査書」を年開けまでに作成します。
〇もう一つの理由は、特に私立高校の場合、その学校独自の「推薦制度(第一志望または第二志望以下もある)」があり、その推薦制度の条件に志望した生徒の成績が見合っているかを、来月から中学校の教員が高等学校へ出向き、「入試相談」を行います。この際に、先ほどと同様に、一及び二学年の成績に加え、三学年の1学期及び2学期の評定が必要になってきます。もしこの「入試相談」」で、高等学校側がその生徒が基準を満たしていることを認めれば、その生徒は願書などを出す時に、「〇〇推薦」を利用した出願が認められます。一番早い出願は、12月から「茨城県私立高等学校」となり、その後、「千葉県」「東京都」「埼玉県」と続きます。
〇三年生の皆さんには、これまで努力した成果があらわれることを願っています。
須藤昌英
11月8日(金)「個性は可能性」について
〇3年生との校長面接では入試本番を想定し、生徒は制服を着て校長室に入室してきます。彼らは入学してからはフォーマルな服装として、制服を着ることに慣れていますので、よく似合っています。生徒たちとは着ている制服の話をする時間はほとんどありませんが、ふと思い出したことがありました。
〇今から20数年年前くらいに学級担任をしていたころ、生徒たちと当時の学校の制服について、何度か話し合いしたことがありました。生徒たちは、「決められた制服や頭髪の基準、またそれらの身だしなみなどの約束があるのは窮屈な気がする」と言っていました。
〇もちろん私自身が中学生の頃も同じでしたが、その時の柏中は全校生徒が二千人いて、「中学校の時だけの決まりだし、みんな同じだから・・」と感じるくらいで、当時の生徒のように「自由がない、窮屈」とまでは思いませんでした。
〇そこで当時、あるインタビュー記事で映画監督の大林宣彦さんが、「制服」について学生に語っている文を見つけ、学級通信に掲載しました。引用します。「確かに制服はみんな同じで変わらないかもしれないけれど、その人が読んだ本、聴いた音楽などによって、まずその人の目の輝きや語る言葉が変わってきます。そうするとその同じ制服を着ていても、『個性』が出てくるんです。制服はファッションではなく、【心のあらわれ】です。同じものを着て窮屈で嫌と感じるとすれば、君の言葉を磨きなさい。君の目の輝きを磨きなさい。そうすると君の着ている制服は、君だけに似合う『個性』になるよ、と言いたいですね」
〇映画監督は一つのテーマをいかに表現するかをいつも考えてそれを仕事としており、その「表現のプロ」が言っているので、言葉に重みがありました。私は学級通信に、自分の解釈として「つまり表面ばかりに目を奪われて本質を磨くことを忘れてはいけないということを教えてくれていると思います」と添えました。もちろん生徒達はすぐに納得していたわけではありませんが、生徒達の疑問に寄り添いつつで、教員として一緒に学んでいたことは忘れることはありません。
〇また大林さんはこうも言っていました。「制服というのは対話の手段なんです。人間どうしは対話をすることでお互いを理解しようとします。対話とはお互いの違いを知る作業で、君と僕はこれだけ考え方が違うんだね。だからお互いに価値がある。これが共存共栄の意味だと知るわけです。違いを知るためには、一つの同じ土壌にいなければダメなんです。そのルールが制服だと思えば、制服を着せられたからみんな同じだと思うのではなく、同じ制服を着ているけれど、僕はこういう言葉を語るし、君はこういう言葉を語る、そうするとその制服が違って見えるということからも、個性を鍛えることができると思いますね」
〇後半の言葉は、当時大人であった私も深くうなずくものでした。同じ制服を着て面接をしていても、それぞれの生徒の個性はよくわかります。最近の私の結論は、「個性=可能性」ですので、逆に制服だけで個性(可能性)が無くなるなどは、空論に過ぎないと感じています。
〇来年度からは柏市標準服(ブレザータイプ)も本格的に導入されます。生徒や保護者にとっては、現行の制服か新しい制服かの選択肢が増えます。毎朝本校正門前を通学する幾人からの富勢小の6年生に、「制服は決まりましたか?」と尋ねると、大半が新制服と答えていましたが、中にはあえて今の制服(学ラン、セーラー服)を考えている児童もいました。
〇今の中学生は、制服についてどう思っているのか。何かの機会で、聞いてみたい気がしました。
須藤昌英
【柏市標準服:上着ブレザー&スラックス、スカート】
11月7日(木)「いじめ防止サミットKashiwa」
〇昨日、柏市内の中学校21校の代表生徒が2名ずつ集まり、「R6いじめ防止サミットKashiwa」がオンラインで開かれました。テーマは「SNSといじめ」で、NPO法人企業教育研究会代表の市野敬介さんがファシリテーターとなって、参加者がグループで話し合う形式の学習でした。
〇本校からは、生徒会役員の中村雅さん(2年3組)と佐藤莉杏さん(2年5組)さんが、富勢中を代表して参加しました。二人とも積極的に自分の意見を発表したり、他の中学校の生徒の話を真剣に聞いたりしていました。
〇サミットでは、二つの課題について話し合いました。一つ目は、アメリカのフロリダ州などでは、子どもがSNS上でネットいじめなどのやりたい放題が問題になり、その後子どもがSNSを利用することを規制する法律ができましたが、「もし柏市の条例で中学生以下のSNS使用禁止が決まった場合に、あなたは賛成しますか?反対しますか?」でした。
〇参加生徒は4人グループに分かれて、それぞれ自分の意見を根拠を交えて発表しあいました。いろいろな意見が出ましたが、「この時代に情報収集するのにSNSは欠かせない」「いじめ防止の意識を繰り返し高めていく必要がある」などの本質をついた理由がありました。
〇次に「このような禁止や制限を必要としないためには、学校でどんな取り組みが出来ますか?」の課題で、これもいじめ防止のポスターや呼びかけの便りを作成する、いじめについてだれでも相談できる場所をつくるなどの建設的な意見がありました。
〇大人の私でも考えさせられる内容でした。普段から仲が良いからといっても、一つのメールなどで相手を傷つけ、人間関係がこじれてしまうことはよくあります。むしろ正式にネットモラルの教育を受けていない我々大人の方が、生徒達よりもよほど気をつけていかなければならないと感じます。
〇このサミットを教材として、12月23日の終業式に、中村さんと佐藤さんには、全校生徒に向けて「いじめやSNSの使い方」について考える授業をしてもらうことを計画しています。事前に生徒や保護者にもアンケートをとるなどして、本校の実態に即した内容にリメイクします。ご期待ください。
須藤昌英
【積極的に参加し、メモを取りながら全校生徒向けの授業について考える中村さんと佐藤さん】
11月6日(水)「交通安全誓いの碑」
〇正門から入ってすぐ右脇に、「交通安全誓いの碑:交通違反をしない、させない、許さない」と書かれた石碑があります。これは今から38年前の昭和61年5月の日曜日、集団で部活動の練習試合の帰り(歩道を自転車で走行中)、猛スピードの車がその列に突っ込み、当時の本校女子生徒2名が命を落としたという大きな事故があり、「そのような交通事故が二度とないように」と願いを込めて当時の生徒・教職員・PTAが建立したものです。2年前に八街市で下校途中の小学生の列に、飲酒運転のトラックが突っ込み、2名の死傷者と3名の負傷者が出たことは記憶に新しいです。
〇私は当時大学4年生で、間もなく教員採用試験を受けようとしていました。住んでいる柏市内でそのような悲惨な事故があったことはテレビなどでも大きく報道されましたので、今でも記憶にはっきりと残っています。
〇その翌年4月に柏市の中学校教員となり、その事故現場がちょうど通勤途中だったので、行き帰りにその場所を通るたび、心の中でご冥福を祈りつつ、教員として生徒の命を預かる重い責任を実感していました。
〇その女子生徒さんたちもご存命であれば、今50歳台前半になっています。一昨年4月に本校に着任した際も、その38年前の事故については前校長や前PTA会長さんからも引継ぎとして説明を受けています。
〇500名以上の生徒の命を預かっている今、同じような事故が起きないように日々努めていかなければならないと、亡くなられた方への誓いとしてあらためて肝に銘じました。
〇先日は、柏市教育委員会を通じてから千葉県交通安全対策推進委員会より「自転車乗車用ヘルメット着用率向上に向けた取組について(通知)」が届きました。内容は以下の通りです。
1 自転車乗車用ヘルメットの着用について
令和5年4月より、自転車乗車用ヘルメットの着用は努力義務となりました。通学時の自転車利用に限らず、日常利用でもヘルメットの着用に努めていただきますよう御協力をお願いします。
【道路交通法第63条の11第1項】
自転車の運転者は,乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
2 通学時の安全運転について
自転車で通学の際に転倒し負傷する事案が発生しています。また、ヘルメットを着用して頭部は保護できたものの他の部位を負傷する事案も発生しており、安全運転についてより一層注意いただきますようお願いします。
〇この3年間正門脇で、ふるさと協議会と連携して16日に地域の御年輩の方々に配付する「ビオラ花鉢」を育成中です。その花鉢を生徒たちが「交通安全誓いの碑」の近くで育てているのも、何らかの供養になれば・・と感じています。
須藤昌英