R7_富勢中日記

3月5日(水)努力努力(ゆめゆめ)

〇昨日は、千葉県公立高等学校入学者選抜の結果発表がありました。入試には各校ごとの募集定員がありますので、嬉しい結果と残念な結果の生徒が出るのは致し方ありません。ただ言えることは、それぞれ「精一杯取り組み、努力した」という経験は今後、必ず本人にとってプラスにはたらきます。

〇この時期になると思い出す言葉があります。「努力努力」と書いて「ゆめゆめ」と読みます。何となくきれいな読み仮名です。そのことを初めて知った時から、強く印象に残っている漢字です。

〇古い言い回しとして、「ゆめゆめ怠ることなかれ(決して怠ってはいけない)」などは知っていました。後ろに禁止の言葉をつなげて、「決して~するな」の意味で使われていることもあります。しかし「努力努力」という字をあてるとは思っていませんでした。

〇「努力」とは「目の前のことを心を込めて行う」ことですが、この言葉から私の受ける印象は、どちらかというと親や先生から「努力しなさい」と言われてきたこともあり、とても窮屈で強制されるイメージです。教育論でよくテーマとなる「厳しくするか甘やかすか」の中では、大人が子どもを外的にコントロールするにイメージ近いです。

〇同様の意味で私などは「精進」という言葉の方が「自ら(内的コントロール)」のイメージがもてるので前から好んで使ってきました。「精」の字は、「こころ。たましい。気力」の意味がありますので、「1つの事柄に精神を集中する」という「努力」と似た意味と捉えています。

〇こちらは仏教に由来していますが、日本語には仏教から影響を受けた言葉が多く、例えば「挨拶」「玄関」「経営」など普段から生活の中でよく使用されているものは、すべて仏典からきています。

〇まさに学校は生徒たちが「努力(精進)するための場」であり、失敗をしてもその原因を明らかにしながら、次の成長へつなげていくところですので、生徒にはチャレンジする気持ちをもってもらいたいと常々思っています。

〇「努力」の言葉から、アメリカの発明家(蓄音機や白熱電球など)の「トーマス・エジソン」を連想します。幼い頃に伝記を読みましたが、彼は大変な努力家で、新聞を売りながら自分でコツコツと貯金し、自分の実験室を作ったそうです。そのエジソンが「努力」について、「天才は1パーセントのひらめきと99パーセントの努力である」という言葉を残しています。

〇また相対性理論でノーベル賞を受賞した理論物理学者の「アルベルト・アインシュタイン」にも多くの格言がありますが、その中に「天才とは努力する凡才のことである」というものがあります。天才のように思われがちなアインシュタインですが、実際は努力によって多くのアイデアや真理を見出した人でした。

〇平安時代初期の僧だった空海(真言宗の開祖:別名弘法大師)は、当時の日本におけるケタはずれの天才であり、書の達人、土木技術のエキスパートなどの複数の実績があります。

〇空海についての本を読むと、彼が若い頃に遣唐使として中国に渡り密教について学び、帰国する際に中国人の師匠から、「早く日本に帰って密教を伝えなさい・・・努力努力(ゆめ ゆめ)つとめよ」と言われたそうです。その後日本中で活躍されたことは有名であり、学区にある布施弁天東海寺にもその伝説があります。

〇今の生徒には前のように「努力しなさい」というよりも「自分の好きなことを究めなさい」と言った方がよいと最近は感じるようになりました。

〇好きなことはやっていれば楽しいし、楽しいから夢中になれるし、好きだからそれに熱中できて「努力」が継続できると思うからです。それが本来の「ゆめゆめ」の真意だと感じています。

須藤昌英