R7_富勢中日記

1月27日(月)「命は時間」

〇先日の給食時の放送で、シンガーソングライターの竹内まりやさんが歌う「いのちの歌」が流れていました。この曲は竹内さんが次の世代に伝える歌として作詞したもので、生徒たちも聞いたことがあるらしく聞き入っていました。最近では卒業式でもよく歌われるそうです。
〇昭和生まれの私の世代は、竹内まりやさんや夫の山下達郎さんは共になじみの深いアーティストで、思わず口ずさんでしまう歌も多くあります。才能のある夫婦として、多くのファンがいます。
〇この歌詞には竹内さんが「生かされていることへの感謝を歌で表現したかった」と本人が語っている特別番組が数年前に放送されました。誰しも生命に限りがある、だからこそ現在を懸命に生きたいとは誰もが心の奥で願っていることだと思います。
〇Youtube動画では、竹内さん本人が「いのちの歌」を心込めて歌っています。シンプルだけど強いメッセージが伝わってきます。歌詞を紹介します。
生きてゆくことの意味問いかけるそのたびに
胸をよぎる 愛しい人々のあたたかさ
この星の片隅でめぐり会えた奇跡は
どんな宝石よりもたいせつな宝物
泣きたい日もある絶望に嘆く日も
そんな時そばにいて寄り添うあなたの影
二人で歌えば懐かしくよみがえる
ふるさとの夕焼けの優しいあのぬくもり
本当にだいじなものは隠れて見えない
ささやかすぎる日々の中にかけがえない喜びがある
いつかは誰でもこの星にさよならを
する時が来るけれど命は継がれてゆく
生まれてきたこと育ててもらえたこと
出会ったこと笑ったこと
そのすべてにありがとう
この命にありがとう
〇「いのち」と聞くと、10年前に105歳でお亡くなりになった聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏の言葉を思い出します。日野原氏は、「生活習慣病」という言葉をつくり、死ぬ直前まで医師として現役を続け、予防医療や終末期医療の普及に尽くした方です。
〇それは日野原氏が若者たちに送った「命とは君たちが持っている時間である」という言葉です。日野原氏は一貫して「命の尊さ」をテーマとしてあちこちで講演されました。日野原氏の言葉を続けて引用します。
「これは難しい問題だからなかなか分からないけれどもね。でも『自分が生きていると思っている人は手を挙げてごらん』と言ったら、全員が挙げるんです。『では命はどこにあるの』って質問すると、心臓に手を当てて『ここにあります』と答える子がいます。僕は聴診器を渡して隣同士で心臓の音を聞いてもらって、このように話を続けるんです。『心臓は確かに大切な臓器だけれども、これは頭や手足に血液を送るポンプであり、命ではない。命とは感じるもので、目には見えないんだ。君たちね。目には見えないけれども大切なものを考えてごらん。空気見えるの? 酸素は? 風が見えるの? でもその空気があるから僕たちは生きている。このように本当に大切なものは目には見えないんだよ』と。」
○さらに「それから僕が言うのは、『命はなぜ目に見えないか。それは命とは君たちが持っている時間だからなんだよ。死んでしまったら自分で使える時間もなくなってしまう。どうか一度しかない自分の時間、命をどのように使うかしっかり考えながら生きていってほしい。さらに言えば、その命を今度は自分以外の何かのために使うことを学んでほしい』ということです。」
〇医師としての仕事を全うしつつ、若い人たちへのわかりやすい説明は見事としか言いようがありません。何かの機会に本校生徒にもあげたいです。
須藤昌英                   

【日野原氏の著者】