創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
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12月18日(水)「ほめて認める」から「学び成長する」へ
〇少し調べると昨日のアリとキリギリスの物語の結末や解釈以外にも、最近は興味深い2つの説(現代の日本版アリとキリギリス)があるようです。
【現代日本版アリとキリギリス その1】
酷暑の夏、毎日アリが一生懸命働いているとき、キリギリスは歌ってばかりいて遊んでいました。冬になり食べ物がなくなり困ったキリギリスがアリの家を訪ねるところまでは同じですが、ノックしてもアリの返事がありません。家の中でアリは死んでいました。いわゆる働き過ぎの「過労死」だったのです。
【現代日本版アリとキリギリス その2】
冬が近づき食べ物に困ったキリギリスは、自ら演奏会を開くことを考え、アリの家を訪ねてチケット代わりに食べ物をもらい、そのおかげで冬を過ごすことができました。夏の間は遊んでいたのではなく、しっかり音楽の勉強をして、キャリアを積んでいたのです。
〇前者は実際にこれまでも日本でも起きていることなので笑えないですが、後者は先日の本校一年生の生徒の授業中の発言と本質は同じです。だれでも得意な面をいかしていけばよい・・と明るい気持ちになります。
〇昨日に紹介した菊池省三氏の実践は、子どもや青年の成長発達に伴う心や行動の変化の過程を明らかにした教育心理学に沿ったもので、小学校はもちろん中学校のすべて教科の授業の基盤となるものでもあります。
〇菊池氏の著書「一人も見捨てない!菊池学級12カ月の言葉かけ(小学館)」の「はじめに」から抜粋させてもらいます。
初めて出会う子どもたちに授業を行う日々のなかで、私は「一時間の授業」をよりいっそう意識するようになりました。自分を開示し、友達と認め合う関係をたった一時間の授業でどのようにつくっているか。それは「私(教師)が子どもたちと一緒に成長していく」という思いを子どもたちと共有することでした。「どんな意見を言ってもいい」「間違っても大丈夫」「いろいろな意見があって当たり前」という安心感を持たせ、「自分の意見を話すことができた」「友達の新たな一面に気付いた」「みんなで考え合うって楽しい」と実感できる授業をつくりたいと思います。
言葉がけは「ほめて認める」視点が大切です。ほめて認めるというのは、プラス面に目を向けることであり、望ましい方向性を示すことでもあります。教師がほめて認める視点で子どもたちに言葉がけをすることで、子どもたちもまた同じ視点を持つようになっていきます。
(途中略)
教室はみんなで学び合うところです。そして、みんなが協力して一緒につくり上げていくものです。マイナスの場面があっても否定せずプラスに活かしていく言葉がけをすることが大切です。「主体的・対話的で深い学び」が現行の学習指導要領の大きな柱になっていますが、子どもの活発な学びは、自分に自信を持ち、お互いに認め合う信頼関係がある温かい学級が土台にあってこそ成り立つものです。
〇柏市は「第2次柏市教育振興画(令和3年度から令和7年度の5年間)」の中で4つの力(コンセプト、チャレンジ、コミュニケーション、コントロール)を4Cと銘打ち、バランスのとれた児童生徒の育成を目指しています。またそれとリンクするように先日も書いた富勢中学校区小中学校4校の共通の「児童生徒に身に付けさせたい力」を4つの柱を立てています。
〇富勢中の実態からもう一度その4つの力を整理します。
【本校の生徒の実態】
・コミュニケーション(関わり合う力)については、地域の行事やボランティアに参加する生徒は、以前よりも少なくなってきている。しかし、他人の話をしっかり聞く姿勢を持っている生徒が多い。自分の考えを説明することが、若干苦手な生徒が多い。今後の課題といえる。
⇒1 自分を大切にし、他者を尊重する力
自分の意見や感情を大切にしつつ、他の人の気持ちや考えも理解し尊重できる力。多様な社会の中で、お互いを尊重し合いながら成長するための基盤となる。
キーワード: 「まずは自分が大切、ならば皆も同じく大切にしよう!」
【本校の生徒の実態】
・コントロール(自律する力)については、どの学年も学習に意欲を持って取り組む生徒が多い。学校の決まりやクラスで決めたことを守ろうとする意識が高い。
⇒2 考えを伝え、協力する力
自分の考えや意見をしっかり表現し、他者と協働して物事を進める力。チームでの協力やコミュニケーションを大切にし、共に目標を達成できるようになる。
キーワード: 「親しくはない仲間の中でも、お互いに考えを伝え合おう!」
【本校の生徒の実態】
・チャレンジ(挑戦する力)については、物事に取り組むときに、あきらめずに粘り強く取り組み事ができる生徒が多い反面、失敗を恐れずに挑戦する意欲は、若干弱い。
⇒3 しなやかに挑戦し続ける力
困難に直面しても、失敗を恐れずに挑戦し、学び続ける力。未来に向かって、自分の道を切り開くために必要な自己肯定感や、柔軟な思考を身につける。
キーワード: 「失敗を失敗のままで終わりにせず、それを活かそう!」
【本校の生徒の実態】
・コンセプト(見通す力)については、分からないことは、そのままにせず、人に聞いたり、自分で調べたりすることができる生徒が多い。その反面、計画的に取り組むことは、若干弱い。
⇒4 社会で活かせる学びの力
基礎学力をもとに、実社会で必要な知識やスキルを使いこなす力。自分の興味を活かしながら、これからの社会で役立つ力を身につけていく。
キーワード: 「学んだことのエッセンスを、自分の将来のベースとしよう!」
〇特に朱字の4つのキーワードは、学校全体で合言葉のようにしていきたいです。本校にはアリやキリギリスだけでなく、それぞれ独自の個性をもった生徒がいます。それをほめて認め、自分から学び成長していく生徒たちを支援していきます。
須藤昌英