校長雑感ブログ

2月26日(月)子どもの可能性を最大限に引き出す方法

〇グロースマインドセット(成長志向)という概念が、最近注目されています。もともとは企業などで人材を育成していくことを目的としていますが、中学生もまったく同じで、人間の成長を促進する思考パターンのことを指しており、自分の成長可能性を信じていれば、難しい問題や課題に積極的に取り組んでいけるという考え方です。

〇グロースマインドセットを提唱したキャロル・ドゥエック氏は、社会心理学、発達心理学を専門とするスタンフォード大学の心理学教授です。マインドセットとは、経験・教育・先入観から形成される、心理状態や思考パターンのことを言います。例えば、思い込みや価値観・信念がこれに該当します。思い込みのことを「パラダイム」とも言い、新たな情報や経験によって自身の思い込みに気づき、思い込みが変化することを「パラダイムシフト」と言います。

〇中味はそんなに新しいことではありませんが、成長を促す側の大人(保護者や教職員など)がわかっていても常に継続してできないのが現実でしょう。

1.褒め言葉を使って自尊心を高める。

2.失敗をポジティブに捉えるよう促す。

3.継続的な努力が必要であることを理解させる。

4. 努力が成功につながることを示すため、適切なフィードバックを提供する。

〇教員となって37年間(小学校3年、中学校34年)、実に多くのそして多彩な児童生徒との出会いがありました。「教えることは教わること」と気づき始めたのは、教員生活をスタートして数年が経過したころでした。「今の教え方で本当にいいのだろうか?」と壁にぶつかった時、目の前の児童生徒が「学ぼうとする姿」をつぶさに観察しました。すると自分の一方的な思いでは何も伝わらないことや、その生徒の姿が新たな手法を私に教えてくれていることを実感しました。

〇コロナ禍前、教え子(私のクラスの学級委員でしかも担当していた野球部の副キャプテンだった生徒)の結婚式に、招待されました。式の始まる前の控え室で彼が、突然私に、「先生、自分で『これで大丈夫、これでいいんだ』と思えるようになったのはつい最近なんです。中学校の時は自分を否定ばかりして、今思うと『苦しかったな』くらいしか覚えていません」と話しました。さらに「今の中学生は僕らのころよりももっと繊細だから、先生も大変ですね」と励ましてくれました。

〇それを聞いて私は意外な気持ちがしばらくぬけませんでした。彼はクラスや部活動においてリーダー的な発言や行動が多く、それしか私の記憶に残っていませんでしたので、本当は心の中では思春期で大変だったのだと初めて知りました。私はおそらく当時、彼の力を最大限にのばしてやりたいという気持ちから彼を叱咤激励だけしていて、彼の「ありのままの姿を認めてあげる」ことがなかったのかもしれないと反省しました。

〇人間は日々、後悔と不安に苛まれています。後悔は「あのときこうすればよかった」と過去に、不安は「このさきどうなるのだろう」と未来に自分の意識があります。英語の Present には「現在」と「贈り物」という二つの意味があるそうです。今生きていることが最高のプレゼントでもあり、そのときに自然と「(ぼくは、わたしは)これで大丈夫、これでいいんだ」という自己を認める気持ちが出てくるのでしょう。そんなことを今でも生徒たちから教わっています。

須藤昌英