創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
文字
背景
行間
4月29日(金)礼を尽くす
〇「日経トップリーダー 『会う人がすべてが、幸之助の虜になった なぜ一見の相手にも深く頭を下げるのか』 」という本に、以下のような話があります。
〇とある中小企業を経営する五十代の方が、東京から大阪に仕事の帰りで新幹線に乗っていました。もともと松下電器(Panasonic)の創業者松下幸之助の大のファンであったらしいです。それがたまたま、通路を挟んで斜め前に松下幸之助さん本人が坐っていました。「何とか一言でも話しかけてみたい」と思うのですが、相手にもされないだろうと尻込みします。
〇「それでも千載一遇の好機を逃したくない」と思って、当時車内で売っていた冷凍ミカンを買っ松下松下幸之助さんに差し上げてみました。それがきっかけとなって、「一言でもお言葉を聞けたらいい」と思ったのでした。恐る恐る冷凍ミカンを「どうぞ」と差し上げると、松下幸之助さんは驚きながらも「ありがとうございます」と受け取られて、それから二十分も話ができたというのです。それだけでもその人は感動しました。
〇やがて京都駅に近づくと、松下幸之助さんは降りる準備を始めました。するとその方のところまで来て、「先ほどはありがとうございました。ミカンおいしかったです」と丁寧に御礼を言われたそうです。更に驚いた事に、ホームに降りた松下幸之助さんは、その方の席のところまで来て、お辞儀をされました。そして新幹線が動き出すまで、見送ってくれたというのです。
〇全くこれまで面識も無い人に対する松下幸之助さんの丁重なふるまいに感激したその人は、大阪に帰ってから、自分の会社と家にある電化製品をすべて松下電器の製品に替えたということでした。
〇なぜ初対面の人に対しても、こんなに丁重に応対されたのか、その文章の中には松下幸之助さんの深い思想が書かれていました。「人間は誰しもとても素晴らしい能力を与えられている、だから老いも若きも偉大な存在なのだと。会った人がお客であろうがなかろうが、顔見知りであろうがなかろうが、今自分は素晴らしい人と話しているのだから、失礼のないように礼を尽くさなければならないと」いう考えだったという話なのです。
〇本当のリーダーのあるべき姿を学んだ気がします。
須藤昌英