校長雑感ブログ

7月10日(月)対話型生成AIを使った学習の可能性

〇文部科学省は先週、生成AI(対話型人工知能)の利用について、小中高向けの暫定ガイドラインを公表しました。このガイドラインは、急速なスピードで広がる「ChatGPT」をはじめとした生成AIの現状に対して、国としての考え方を示したもので、学校関係者が生成AIの活用の適否を判断する際の参考資料として活用していく目的があります。

〇そもそも最近よく耳にする「生成AI(人工知能)」とは、どんなものでしょうか?少し調べると、コンピュータがこれまでの既存の文章や画像・音声などのデータから、それを組み合わせて、新しい内容を生成することを示しています。特に最近はその発達が目覚ましく、以前にはコンピュータが人間と見分けがつかないような文章等をつくることは不可能とされてきました。しかし、新しい生成型AIは、質問者と相互に会話を交わせるだけでなく、一見すると既存ではないオリジナルに見える内容も生成できるそうです。

〇本校でもこのガイドラインをこれからよく検討する必要がありますが、私としては、生成AIを教育活動で利用する基本的な考え方として、「情報活用能力の育成」は重要だと思いますし、今の生徒たちに、生成AIへの正しい理解や活用、使いこなすための意識を持たせるべきだとも感じます。ただし、その内容が偽情報である可能性、個人情報の取り扱いが適切か、著作権の侵害がないかなどの視点では、まだ未知な部分が多く、慎重にやるべきだと思います。

〇ガイドラインでは、「現時点では活用が有効な場面を検証しつつ、限定的な利用から始めることが適切」と書かれていますので、まず生成AI自体の性質やメリット・デメリットをよく整理したいと思います。

【ガイドラインで示された適切な利用の例】

・グループ討論で、アイデアの参考にすれば、議論が深まる

・英会話の相手として活用し、自然な会話表現へ改善できる

・情報モラル教育の一環として、教師が生成AIの誤りを含んだ回答を教材として活用し、その性質に気づかせること

【ガイドラインで示された不適切な利用の例】

・生徒の感性や独創性を発揮させたい場面で安易に利用する

・夏休みの作文・日記・読書感想文・レポート、各種コンクール応募作品にそのまま使用する

・定期テストや単元テストで使わせる

〇いずれにせよ、生徒も教職員も高いリテラシー(適切に理解・表現していく能力)を持つ必要があると感じます。

須藤昌英