R7_富勢中日記

1月22日(水)青年期における心の素直さ

〇昨日の午後は、学区にある県立柏高等学校の第3回学校評議委員会に出席しました。歴代の富勢中校長は、柏高等学校の学校評議員となっています。今回は今年度の柏高等学校の学校評価の分析と今後の取り組みの説明を受け、評議員として意見を述べるものでした。

〇評議員のメンバーは麗澤大学の先生を委員長に、学区の小中学校校長、近隣住民の代表、町会役員、柏高校PTA会長、柏高校同窓会長で、高校側からは、校長、教頭、事務長、各部会の部長の教諭が列席します。高等学校側からの報告を受け、各委員が質問したり意見を述べたりする場でした。

〇冒頭に柏高等学校長からは、先週の大学入学共通テストに、現役や浪人も含めて300名の生徒が受験したと聞きました。この時期の受験の緊張感が伝わってくるとともに、県内公立高等学校の中でも進学重点校として、日頃から授業、行事、生徒指導、進路指導、キャリア教育などに取り組んでいる様子がわかりました。

〇私もこの3年間で、1年に3回ずつ合計9回も柏高等学校を訪問し、数回授業も参観させてもらいましたので、だいぶ柏高等学校については詳しくなりました。ちょうど一年前には、柏高校の生徒会長が富勢中卒業生というつながりから、北柏駅やスーパーなどで「能登半島地震への募金活動」を本校生徒会役員と合同で実施しました。その時もどの高校生も素直な印象を受けました。

〇来月は本校からも多くの生徒が柏高等学校を受検しますので、今後も連携していくことになります。

〇昔から「素直な子はのびる」と言われます。本校生徒も素直ですが、高校生でも「素直さ」を継続することは、自分の経験から考えても難しいと感じてしまいます。ただ人によって「素直さとは?」と問われればその答えは変わってくるとも思います。広辞苑で「素直」を調べてみると、

「①飾り気なくありのままなこと。曲がったり癖があったりしないさま。質朴。淳朴。②心の正しいこと。正直。③おだやかで人にさからわないこと。従順。柔和。「忠告を―に聞く」④物事がすんなりゆくこと。とどこおりないさま。⑤技芸などで、癖がなく、すっきりしていること。」とあります。

〇まず親や教員からの視点で素直とは、「きちんと言われたことをやり、たとえ間違いを指摘されても反意を示さずになおそうとする」が一番強いイメージだと思います。乳幼児期は初めて挑戦することばかりで成功と失敗を繰り返しながら、コミュニケーションやその他のスキルを身につけていきます。その際は「~したらいいよ」と大人の意見をまずはそのまま受け入れる子がほとんどだと思います。しかし中学生になって、乳幼児と同じ質の「素直」であったならば、それはそれで心配になります。

〇逆に「素直さが欠けている」となると、「自分の非を認められない、人の話を聞こうとしない、わからないことをそのままにしておく、自分のやり方に固執する、人に感謝ができない」など、大人からみると「厄介な子」となるのでしょう。私なども小学校高学年から中学生の頃は、「これではいけない」と思っていても、指摘された内容よりも「~しなさい」に対して理由もなく反感を抱いていました。

〇しかしだれもが成長過程で一時期にそうであったのではないでしょうか。素直になれない原因は、他人と自分の違いを意識したり、自分は自分で考えてやってみたいと思ったりすることが多くなったわけですので、ある意味「順調な成長」とも受け止められます。

〇では中学生以上の青年期の「素直」とはどんなことでしょうか?私は何より、だれもがもっている自分の「弱さ」と向きあえるかどうかだと思います。私たちは不完全な存在ですから、至らないことも間違うことも、すぐにはできないこともたくさんあります。それでも生きていく中で、小さな気づきとか発見をすることがあります。そこでそれがたとえささやかな気づきであっても、「あーなるほどそうだったのか」「これまで自分は間違っていたなぁ」と気づくことができます。

〇そしてその弱さや不完全さに誠実に向き合い、気づいたことをためらわずに、これからの生き方に反映できる、それが「素直」であり、そういう自分も大人でありながら「そうありたい」と常々思っています。ただしそのためには、自分の中に自己を認め肯定する気持ちが絶対に必要です。

〇私もクラス担任をしていた際には、生徒を注意するときに、やっていることは間違っているけれど、それをやっている生徒本人を否定すること(こちらがそう思っていなくても相手がそう思うことも含めて)が極力ないようにしてきました。

〇今の日本には様々な課題はありますが、少なくともだれもが「自分の人生に対して、自分で決めていける」環境は用意されています。自分で決めることで、何かうまくいかないことにぶつかっても、人のせいや条件のせいにして逃げることを踏みとどまることができます。

「素直」・・今の自分を大切にし(自己肯定感)、将来の自分に期待する(自己有用感)生徒 を育てていくことが、学校の使命だと思います。

須藤昌英