創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
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12月9日(月)「推し活」についての一考
〇最近よく耳にするようになった「推(お)し活」とは、アイドルやキャラクターなどの「推し」、いわゆるご贔屓(ひいき)を愛でたり応援したりする活動のことのようです。
〇この時期によく「新語・流行語大賞」が発表されて話題になりますが、「推し活」は3年前にノミネートされています。そもそも「推し」という言葉は 1980年代頃からアイドルオタクの世界で発祥した俗語のようで、「あなたが推しているモノは何ですか?」などと、好きなモノを聞く文脈で使われています。
〇誰でも好きなグッズを集めたりすることはありますが、少し調べるとその他広い範囲で次のような使われ方があります。
【推しに触れる】
推し活グッズを買う/推し活グッズをコレクションする/コラボカフェに行く/コラボイベントに参加する
【推しに逢う】
ライブや舞台を観に行く/推しのDVDや配信映像を鑑賞する/撮影スポット、ゆかりの地などの聖地巡礼をする/ファンレターを書く/推しにプレゼントを贈る
【推しに染まる】
推しと同じものを持つ/推しのイメージカラー(推し色)の服やコスメを集める
【推しを広める】
SNSで推しの魅力を語る/推しを他人に布教する
【推しを感じる】
一人静かに推しのことを想う/推しが生きて存在していることに今日も感謝する
〇23歳の社会人1年目の娘もご多分にもれずにこれまで様々な推しのアーティストのライブ等に行っていました。アルバイトで得たお金はほとんどそれに使われていたようです。ただ最近は先日も「昭和」について書きましたが、特に昭和時代の音楽が大好きなようで、わざわざ古いレコードやカセットテープを購入し、それに合わせてレコードプレーヤーやカセットデッキも揃えて楽しんでいます。時々「私も昭和に生まれたかった」と言っています。
〇推すという行為は「社会が多様化に向かっていることを象徴している」と指摘する人もいます。若者の間でも日本の従来からの終身雇用に固執することなく、自身のキャリアに積極的な転職を視野に入れておくことも普通になっています。また日常の消費に対しても、例えば大きな仕事が終わると少し高めのスイーツを買って自分へのご褒美などと言い、日々の活力や安息につなげています。
〇つまり「推し活をしている間はツライ日常を忘れることができる」「推し活のためにやりたくないことも頑張れる」というように、推しへの傾倒や消費そのものが自身を励ますことにつながることは理解できます。ただ一部で自身の経済力と見合わない推し活をし、昨今言われる「推し疲れ」のように「推す」ことをやめたいと感じることもあるようで、注意が必要です。
〇私は以前から「推しのもつ前向きで活動的な面を学校の活動にも活用できないか・・」と考えていました。例えば生徒が「この活動(委員会や部活動)は自分のモチベーションがあがる」「この教科をどこまでも深く突き詰めたい」など、それぞれの興味や関心を優先することももっと引き出してあげたいです。
〇そのためにも我々大人が自分のもっている興味や関心のレベルを保ちながら持ち続けつつ、一人ひとりの生徒が持っている興味・関心を伸ばすという視点を失わないようにしたいです。一見学校の授業とは関係ないように見えることでも、本人が興味を持ち集中して取り組んでいることをきっかけに学ぶことの面白さを体験することができます。そこから学びを深めていくことによる成長は目を見張るものがあると、これまでの教員生活で実感しています。
〇今年もあと3週間(2学期は2週間)と残り少なくなってきました。「今日も私は『●●という推し活』があるから学校に行きたい」と思ってくれる生徒が増えることを望んでいます。
須藤昌英