校長雑感ブログ

5月9日(火)対話活動の大切さ(学びはわからないことから始まる)

〇先月から行っている教職員との面接の中で、生徒の授業中の様子を聞き取っています。特に気になるのが、答えがわかっていても発言を避けたり自分の考えを表現することが苦手だったりする生徒がどのクラスにもいることです。生徒の心理面からすると、自分の考えに自信がないことで、発表や質問をしたがらない傾向がありますので、授業の中で意図的に、2人組のペア学習・それ以上の複数人のグループ学習などの小集団交流を取り入れることで、生徒が自分の考えを表現しやすくしたり他者の考えを取り入れたりすることを行っています。

〇指導者側からすると、生徒にペアやグループでの学習による深め合いのよさを実感させることが一番難しく、もしそれが理解できれば、生徒は自ら進んで対話活動をすると思います。学習指導要領が唄う「主体的・対話的で深い学び」を実現するためには、自分の考えを表現し、考えを深め合うことが欠かせません。

〇都立の特別支援学校の主任教諭である川上康則氏は、その著書「教室マルトリートメント」の中で、ペアでの活動等のメリットを次の5つで示しています。

①インプットしたことをアウトプットして記憶に残す

②理解レベルや活動の進捗状況をそろえる

③他の人のフィルターを通して学ぶ

④集中を続けるために、いったんガス抜きする

⑤考えを整理させたり、発表に自信をもたせる

〇教職員には授業を進める中で、次のようなことを意識してほしいとお願いしています。

・意見の交流をためらいなくできるクラスの雰囲気(生徒同士の人間関係を含む)を構築しつつ、各自の発言を共有し、「分からない」や「間違い」から学びが始まることや意見や質問し合うことが深め合うことにつながることを理解させていく。

・生徒自身の気付きや考えから、授業を構成する視点をもち、冒頭の学習問題を工夫して提示し、既習事項との違いに気付かせ、生徒自身に今日のめあてを設定させる。聞く、読む、書く、話すなどの言語環境を整備し、自分の考えをもたせ、自分なりの納得解(まとめ)へと導く。

〇私達教職員の間では、昔から「授業は生もの」といわれ、その時間のゴールは設定しますが、生徒の反応によってどっちに転ぶかわからない面もあります。それが面白いところでもあります。

須藤昌英