校長雑感ブログ

5月16日(月)子どものSOSのサイン

〇ゴールデンウイークが終わったあとの先週の一週間は、疲れた顔をして生活をしている生徒が通常より多かった気がします。ご家庭でもお子様に関して、「うれしい」「楽しい」といったポジティブな感情が失われて無気力に見えたり、逆に「このままではいけない」とあせる気持ちが空回りして、急にイライラしたり怒りっぽくなることはありませんでしょうか。

〇先日、国立成育医療研究センターが昨年末に行った調査結果について「小学校高学年から中学生の子ども1~2割にうつ症状がみられた」と発表し、新聞でも報道されました。一言でいうと驚きの結果です。

〇うつ症状は、自律神経の働きが不安定になるので、だるさや睡眠障害、食欲不振、頭痛といったカラダの症状をほぼ必ずともないます。これらは特に病気の初期に目立つ症状です。ひどくなると、自分を役に立たない人間だと責める気持ちが強くなり、将来に希望がもてなくなる可能性もあります。

〇心配なのは、自分にうつ症状が出ても、「誰にも相談せず、自分で様子をみる」と答えた子どもは、学年が上がるとその割合が増えていたことです。一方、保護者も自分の子どもにうつ症状が出た場合「病院は受診させず様子をみる」が最も多かったと記事にはありました。

〇さらに記事には、家庭内で抱え込む傾向が浮き彫りになっており、同センターの研究部長の話で、「コロナ禍の長期化でストレスが高い状態が続き、保護者も余裕がない可能性がある」「イライラしたり朝起きられないなどのサインに気づいたりしたら、まずは子どもの話を聞き、必要だと思ったらためらわず相談や受診をさせてほしい」を掲載していました。

〇一人の生徒が、1年365日常に前向きに活動することは、私の経験からもあり得ないと思います。人間には周期的に感情の起伏があり、それによって気分が落ち込んだり意欲が低下することもあります。またそういう経験を通して、友達が同じように暗い顔をしていたら、その内面を想像したり声をかけたりすることもできるようになるのでしょう。

〇一昨日も書きましたが、本当の「自立・自律」とは、「適切に周囲に依存できる」ことです。一方で心理的に苦しいという生徒のSOSに気づき、受け止めていくのは、大人の役目だと思います。

須藤昌英