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11月27日(水)災害(防災)用井戸掘削工事
〇本校にはこれまで災害用井戸はありませんでした。そのことは先日に本校体育館で実施した富勢地区の避難所開設訓練でも課題として挙げられていました。そこで昨日から災害用井戸の掘削工事が始まりました。正門を入ってすぐ左のスペースに業務用の掘削機が入り、地下約70mまで掘るそうです。
〇災害用井戸は地震や台風などの災害時に、水道が断水した場合に不足する水を確保する手段の一つであり、井戸の設置目的や管理状況等により、消防用水、飲料水、生活用水などに用いることを想定しています。害時には多くの生活用水が必要ですが、本校の井戸は飲めませんので、非常用トイレなどに活用します。
〇では防災井戸とはいったい何をもってして防災井戸と呼べるのかというと、昔から一般家庭で使用されている井戸の唯一の弱点ともいえるのが、「電動ポンプ」を使っていることであり、電力の供給が止まってしまえば、水を汲み上げることができません。外から見てもはいつもと変わらない状態でも、停電によって井戸が使えなくなってしまうのです。
〇そこで防災井戸に欠かせないのが「手押しポンプ」です。今はその手押しポンプ自体の性能も向上しているので、高齢者や子どもでも簡単に水を汲み上げることができます。私は自宅近くで借りている畑で野菜を栽培していますが、その近くに昔ながらの手押しポンプの井戸があります。夏は何回もくみ上げるので重労働ですが、スポーツジムのトレーニングだと思うと楽しくなります。3歳の孫娘はこの井戸が大好きで、まだ上手く汲み上げられませんが、私が手伝おうとすると、「手出しするな」と怒ります。彼女にとっては家庭の水道との違いが面白いらしくいつまでもやっています。
〇大切なのは防災井戸として安定的な水量を確保するため、豊富な水量があると想定される場所であることです。掘削業者によると、本校は少し台地になっていますが、その下は多くの水脈があり、その心配はないそうです。私たちは通常、トイレやお風呂、洗濯などの生活用水として人当たり1日186リットル以上使っていると言われています。手押しポンプは1時間あたり最大で2,640Lの性能があるようで、実際の災害時には通常のように水は使えませんので、中学生などが交代で井戸の稼働をすれば、避難所や地域住民が使用しても大丈夫です。
〇過去の大規模な災害の発生によりライフラインが寸断され、深刻な水不足に陥った地域も少なくありませんでした。特に生活用水が不足し、トイレに行くのを我慢するために水を飲まない人が多くいて、それが脱水症状からエコノミー症候群や心筋梗塞などにもつながりますので、水の確保は命に直結する重大な課題です。
〇完成までに約二週間かかります。正門付近には交通整理員が立っていますが、工事車両が出入りしますので、登下校時の生徒の安全を最優先します。また明日の授業参観も正門ではなく、体育館脇の東門をご利用ください。
須藤昌英