校長雑感ブログ

12月20日(火)恩返しと恩送り

〇民話の「鶴の恩返し」やそれを題材にした木下順二の「夕鶴」は多くの人が知っている話ですが、人間に助けてもらった鶴が機を織って恩を返すお話です。「のぞかないで」と言われたのに部屋をのぞいてしまい、最後は鶴が空へ帰ってしまう結末となっています。私は幼いころからこの話を聞くたびにこの結末があまり好きではなく、雪空に鶴が飛び去っていく淋しい情景を思い浮かべていました。

〇「恩返し」という言葉は、お世話になった人に直接何かをしてあげることですが、50歳になった頃に、「恩送り」という言葉を初めて知り、その後段々と年齢があがるにつれてその意味を深く考えるようになりました。これまでの人生の中で、多くの人にお世話をしていただきましたが、実際にその方々すべてに「恩返し」をすることは難しいのではないでしょうか?両親や兄弟はまだしも、友達や恩師、同僚や住んでいる地域の方々・・・、私もその方々すべてと今でもつながっていたりきちんと感謝を伝えたりできていないことがほとんどです。

〇であるならば、「恩返し」ではなく「恩送り」をしていくしかないと思ったのです。例えば私であれば、小・中・高・大学と16年間で多くの授業や諸活動の中で、多くの先生や友達から様々なことを教わりました。その後教員となり、今度は多くの児童生徒や同僚に対して、自分としてできるだけのことをしてきたつもりです。しかしそれはまた別の見方をすると、それまでしてもらったことに感謝しつつ、直接その方々に恩は返すことはできませんでしたが、その分あらたに出会った方々に「恩を送っている」とも考えられるようになりました。

〇世の中のほとんどがお互いの「恩送り」で成り立っているなかで、逆に「恩返し」をできることは稀なことなので、私の中では次の図のようなイメージになります。まもなく今年も終わります。今年中にいただいた恩はできるだけ今年中に返していくようにしたいものです。

須藤昌英