校長雑感ブログ

4月24日(水)「不思議」への憧れ

〇今、校庭には咲き終わったタンポポの綿毛が一面に広がっています。私は幼い頃からこの綿毛を飛ばすのが大好きでした。何十もの綿毛を集め、一気に吹き飛ばしてよく遊んでいました。当時もそれがタンポポであることだけは知っていましたが、なぜそのような形になっているのかは知らないというか興味はありませんでした。ただ遊び道具の一つでした。

〇ご存じの通り、咲いたタンポポの花がしぼむと、綿毛ができます。花が咲いて種が作られるのと並行して、綿毛も徐々にできあがります。綿毛になったあとは時期がくると風で飛ばされるようになります。勢いよく遠くへと飛ばされて、広範囲へ定着します。たんぽぽの綿毛はとても不思議な存在ですが、これは種を遠くに飛ばすためにできたものです。

〇先日校庭で昔のように綿毛を飛ばしていると、生徒達から「校長先生何をしているのですか?」と声をかけられました。「見ての通り綿毛を飛ばしているんだよ。一緒にやるかい?」と答えると、彼らは笑いながら「遠慮しておきます。」と言いながら立ち去っていきました。もちろん彼らも幼い頃は「綿毛飛ばし」をやった経験もあるでしょうし、綿毛が子孫を残すために飛ぶことも知っているでしょう。

〇その時思ったことは、大人になってその仕組みや理屈がわかっても、やはり綿毛があのような形で風に飛ばされるのを待っていることが、今でもとても「不思議」だということでした。むしろ大人になってからの方が一層、知識としてではなく、けなげに自分のいのちを全うしようとしているタンポポの姿に、学べるような気がします。

〇同様に何でも幼い頃からに不思議と思ったことを大人になってからも大切(憧れる)にするようにした方が、人生の深みが増すのではないでしょうか?新しい視点で同じものを見ると、まったく違うように見えるという経験も、生徒たちはこれから味わってほしいものです。

〇生徒たちに「綿毛飛ばし」を遠慮されてしまったので、孫娘と一緒に楽しんでいます。

須藤昌英