校長雑感ブログ

5月15日(日)AIが仕事をする未来

〇最近テレビのニュースをみていると、画面右上に「現在AIの音声でお届けしています」のメッセージが流れ、ニュース原稿が読まれています。実際に聞いていても、男女の声ともまったく違和感がなく、人間が原稿を読んでいるのと差は感じません。

〇その時、「将来的にアナウンサーという職業はなくなるな」と直感的に思いました。アナウンサーといえば、これまで「憧れの職業」の一つであり、昔から名アナウンサーという方も大勢いました。それが今後は、AIにとってかわられるというのであれば、これからアナウンサーを目指そうとしている若者はどう考えるのでしょうか?

〇10年ほど前にまりますが、ニューヨーク州立デューク大学のキャシー・デビッドソン大学院教授は「今の子どもたちの 65%は、将来今ない職業に就く」と発表し、当時大きな話題になりました。「まさか?」と私も最初は思いましたが、先ほどのようなAIの活躍を身近に感じると、その予想も現実味を帯びてきます。実際にこの数字は専門家の間では、「ほぼ間違いのない数字だ」と言われおり、2030年あたりを想定しているらしいのです。

〇「 65%は今ない職業に就く」というのであれば、「今の職業は35%しか残らない」ということです。確かにちょっと前の「コンビニ」や「スマホ」などが無かった時代を考えると、スマホにダウンロードするアプリの会社が、数年で年商数百億の会社に成長するなんて誰も想像できなかったことを考えると、ありえない話ではないと感じます。

〇つまり今の子どもたちが20歳を過ぎて大人になった時、彼らは我々世代の経験した事の無い世の中を生きるわけです。そうすると今まで我々が受けてきた「教育」や「価値観」を子どもたちに押しつけるのは、無意味になってきます。ある教育専門家は、「これまでの教育のままでは、子どもたちを『就業不可能』にしているだけ」とまで言っています。これも少し極端な気がしますが、反対に一考するに値する気もします。

〇それではどうしたらいいのか?我々の大人が正しい情報を蓄積し、子どもたちと共に新しい価値観を作り上げていかなければならないのは確かなようです。自ら主体的に取り組み、指示待ちではなく目の前の課題に周囲と対話をしながら、解決していこうとする資質や能力を持ち、未だAIやロボットが到達できないとされている、人間的感情(思いやり、優しさ、共感するなど)をもった人間に導いていくことではないでしょうか?

〇時代が便利な世の中を追求しても、その便利さに慣れ、なんでも何かのサービスに頼ったり自ら体験することを回避したりしてしまい、せっかく子どもたちが生まれつき持っている可能性を引き出せなくなるとしたら、非常に「もったいない」と感じてしまいます。

須藤昌英