校長雑感ブログ

10月11日(火)自分の言葉で語ること

〇先月から3年生との「校長面接」を行っていて、ここまで50人くらいの生徒とそれぞれ約10分間くらいのやりとりが終わりました。あらかじめ質問シートを配付してあり、生徒がそれに自分の回答を書いてあるのを事前に回収し、こちらも参考にしながら、質問をその場で考えています。

〇もちろん個性がありますが、気になるのは、あらかじめシートに書いた自分の回答を覚えたままに答える生徒とそれはそれとして、その場で思ったり考えたりしたことを自分の言葉で言える生徒の違いです。もちろん前者の努力は認めますが、時々シートにない質問もしています。その際、後者の生徒は慌てることなく、「少し考えさせてください」と断ってから、しっかりと考えた後で「~だと思います」と答えています。

〇不測の質問にその場で自分の経験を土台にして、自分の言葉で語れるというのは、やはり普段の生活や授業の中で、自分の考えを書き留めたり、それをもとに発言しているからだと思います。それを繰り返す中で、段々と自分の考えの方向性が固まってきたり、逆に他人の考えと自分の考えを比べて、取り入れたいことは柔軟に学んでいるのではないでしょうか?

〇ここまでの中で、個性的なキラリと光る生徒の回答を一部だけ紹介します。

質問1「この高等学校を志望する理由を教えてください」

回答1「はい、この学校へ夏休みに見学に行った際、学校全体が明るい雰囲気で、あちらの説明では「文武両道」を目指していると聞き、この学校で充実した高校生活を送りたいと考えたからです」

質問2「どうしてその学校を志望しているのですか?」

回答2「私は読書が好きなのですが、たまたま私の好きな作家の出身校であることを知り、私も同じ学校で学びたいと思ったからです」

質問3「あなたが将来、看護の仕事をしたいと思ったきっかけはなんですか?」

回答3「小学校2年のとき、怪我で入院した際、優しく接してくれた看護師の方のように、人のために働きたいと思ったからです」

質問4「あなたの特技はなんですか?」

回答4「特技ではないですが、英語が好きなので、11月頃に英検準2級に挑戦するつもりで、今問題集で勉強をすすめています」

質問5「得意(好きな)教科を教えてください」

回答5「社会です。地理や歴史は暗記も必要ですが、その事実のつながりや流れを考えるのがとても楽しいからです」

質問6「あなたの長所と短所を1つずつ教えてください」

回答6「長所は粘り強く何かに取り組むことです。ただ短所は夢中になると周囲が見えなくなり、人の話が聞けなくなるところです」

質問7「中学校生活での一番の思い出はなんですか?」

回答7「修学旅行です。コロナ禍で多くの行事が中止になり、やっとの思いで行くことができ、班員と協力して目的地にたどり着いた時の達成感が忘れられません」

質問8「尊敬する人物は誰ですか?」

回答8「両親です。体調を崩しているときでも、家族のために文句も言わず働いてくれ、自分のことも気遣ってくれるからです」

〇お気づきだと思いますが、回答は最初に「結論(考えたこと)」を言い切り、その後に「理由(思っていること)」を言うと、相手に伝わりやすく好印象になります。これは一朝一夕で身に付くものではありません。でもそれを意識しながら生活していると、いつの間にか相手に伝えるにはこれが一番伝わりやすいことがわかってきます。「入試」と言う目先の関門もありますが、卒業後の「人生」にも、自分の言葉で、相手にわかりやすく語ることは重要になってくると思います。

須藤昌英