校長雑感ブログ

1月23日(火)寒さの中で鍛える

〇昔から「大寒」前後には、武道では「寒稽古」、神事では「寒中水泳」などをして、自分の心身を鍛えるの風習があります。あえて厳しい条件で自分を磨くことは、自分の可能性を伸ばすことになるということでしょう。

〇「鍛える」と言えば、有名な徳川家康の遺訓の一部があります。

「人の一生は重荷を負ふて遠き道を行くが如し。急ぐべからず。不自由を常とおもへば不足なし。心に望み起こらば困窮したる時を思ひ出すべし。(略)」

〇読めばわかりますが、おおよそ「人の一生というものは、重い荷を背負って遠い道を行くようなものだ。急いではいけない。不自由が当たり前と考えれば、不満は生じない。心に欲が起きたときには、苦しかった時を思い出すことだ。」という意味です。不自由なことや苦しかったことが逆境になると味方してくれるという教訓だと思います。

〇寒いのにあえて自分を鍛える・・など、一見すると不合理かもしれませんが、昨年の経験したことのない猛暑を思い出すと、暑い中では熱中症などから命にかかわる危険もありますが、いくら寒いからと言って日本では凍死することはありませんから、寒い時の方が合理的と言えるかもしれません。

〇コロナ禍前までは、多くの中学校で「冬季合同トレーニング」を実施していました。日没がはやい冬季は、各部活動の放課後の活動時間が短く、練習量の確保が難しいのですが、部活動の枠を超えて、希望者が部活動終了時間からグラウンドに集まり、夕闇のなかを走ったり筋力トレーニングをしたりして、基礎体力を養っていました。各競技の基盤となる足腰を鍛えることで、春からグンとスキルを伸ばした生徒を私も過去には多く見てきました。よく観察していると、体力もそうですが苦しいことに自ら向き合うことで個人が精神的にも成長します。

〇またある意味走ったり筋トレしたりすることは単純作業なので、一人ではなかなか継続しにくいものです。そこで仲間同士で励ましあい、目標達成する連帯感が生まれ、それが夏の総合体育大会でもそのチームの絆が発揮されていました。

〇今の状況では前のように、合同でトレーニングをすることは難しいですが、昨日に触れましたが、お酒もこの時期に仕込むと美味しくなると同様に、人間もこの時期に「自分磨き」をするとよい・・かなと感じています。

須藤昌英