創立78周年目 学び成長し続ける富勢中
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11月25日(月)挑戦をやめない生き物を人類と呼ぶ(超進化論)
〇野口聡一(元・JAXA宇宙飛行士)氏は、これまで3度(2005,2009,2020)も宇宙船に乗船した日本の英雄です。世界初三種類の宇宙帰還を達成し、ギネス世界記録(2部門)を持っています。彼が言った言葉に「進化とは自分の性能を上げるのではなく、自分を環境に合わせることだ」があります。
〇「成長と進化」は似ているようですが、成長とは、生物でいえば育って大きくなること。人間でいえば、いろいろな学びを通し、身体や心のスペック(性能)があがることであることです。一方で進化とは、生物では遺伝子レベルで変化を起こし、環境の変化に適合した生命体をつくりあげることであり、「成長」よりもより長いスパン(時間)での変化を「進化」と呼ぶのだと思います。
〇これは19世紀の自然科学者ダーウィンがその著書「種の起源」で、「唯一生き残ることができるのは、変化できる者である」と指摘しています。進化は生物が生き残るために必要なことで、進化しない生物は滅んでいくという法則です。ただこの論理は、「すべての生き物は自分の種の保存だけを目的に争って生きている」という解釈になります。冷たい感覚が残ります。
〇2年前に放送されたNHKスペシャルの「超・進化論」は、それまで見ることができなかった生き物たちの驚くべき世界を、映像化していました。植物がまるでおしゃべりするかのようにコミュニケーションをしている様子や、幼虫からまるで違う成虫の姿へと大変身するサナギの中の透視映像は、世界で初めて撮影されたものでした。
○私が印象に残っているのは、生き物たちは、厳しい生存競争を繰り広げる一方で、種を超えて複雑につながり合い、助け合って生きているという点でした。「人間は最も進化した生き物だ」という思いこみをやめて、今後はますます地球を支える「生物多様性の本当の姿」が今後明らかになってくると感じました。
〇具体例として2つありました。まず植物は人間が持つ目や耳のような感覚器官を持っているわけではないため、私たちは彼らを「ただ黙って立っているだけの、鈍感な存在」とも思ってしまいがちです。しかし、目も耳もなく動くこともない彼らは、しかし最先端の研究者たちからすると、むしろ逆で、植物は動けないがゆえに、周囲のあらゆる環境の変化を、時に動物以上に敏感に感じ取って対応している可能性があるというのです。
〇もう一つが、森の地下には、木と木をつなぐ巨大な菌のネットワークが存在していて、この目に見えない地下でのつながりは、遺伝子解析技術によって明らかになってきており、数十メートル離れた植物どうしが、同じ菌糸(細い糸状の菌)のネットワークでつながっていること。加えて植物が光合成で得た養分が、その菌糸のネットワークを介して、他の植物へと送られているという研究結果が発表されていました。
〇「生きるか・死ぬか」「食う・食われる」だけではない、このような植物の「支え合いの世界」のように、お互いに助け合って生きていることが「超・進化論」であるならば、我々人間も争うのではなく、一緒に生きていくことをもっと意識すべきだと視聴し終わった後に感じました。
〇冒頭の野口聡一氏の格言をもう一つ、「挑戦をやめない生き物を人類と呼ぶ」。いかにも宇宙飛行士らしい直球的な言葉です。「進化は自分を環境に合わせようとすること」と合わせると、真の挑戦とは、失敗を繰り返しながらも、決して自分のためだけでなく自分も含めた環境(家族、学校、地域、国家、地球など)を守り、自分の成長を通して他に貢献していく変化だと思います。
須藤昌英