校長雑感ブログ

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9月4日(月)初めての引き渡し訓練

〇「柏市小中学校地震発生時の対応」マニュアルでは、震度5強の地震が発生した場合、保護者等に児童生徒を引き渡すことになっています。金曜日の学級活動が終わった時間で、避難訓練と引き渡し訓練を行いました。

〇今回は富勢中単独で行う引き渡し訓練ではなく、小学校とも連携した訓練でした。本年度が初めての試みです。本来は教室から避難した校庭で行うのですが、熱中症対策として、各教室に保護者に来ていただき行いました。

〇引き渡し訓練の目的として、1つは災害発生時に備え、生徒の安全を守り、確実に保護者に引き渡せるようにすること、2つ目として兄弟姉妹がいるご家庭において小中学校の連携をできるようにすることがあります。

〇ご協力いただきました保護者の皆様、ありがとうございました。

【避難訓練についての校長の話】

始業式では、一つの災害として地球沸騰化の時代の話をしましたが、もう一つ、日本が避けることのできない災害が地震です。熱中症から命を守ることはある程度計画的にできますが、ただ地震から命を守るためには、もっと突破的な判断をする必要があります。そして今日は関東大震災からちょうど100年目の日です。

1 関東大震災について

日時:1923年9月1日午前11時58分

規模:マグニチュード7.9(震度6強)

範囲:千葉県の房総半島から神奈川県の相模湾

被害:昼食時で強風(東京は46時間燃え続ける)、火災を含んだ竜巻状の渦(火災旋風)があちこちで発生、建物の崩壊や火災で約29万棟、津波も発生

死者: 約10万5千人(9万人が火災で亡くなった)

●この100年間で、東京の人口は400万人から1400万人に増えました。単純に計算したとしても、3倍以上の死者が出る可能性があります。

●地震による火災で警戒すべきは、「同時多発に発生する可能性が高い」ことです。同時多発的な火災の場合、逃げ道を塞がれるリスクもあります。

●人の混乱が1番の問題になると思います。慌てることにより逃げようにも逃げられなくなる可能性は、東日本大震災の時の映像を見れば解ります。あちこちで連鎖して混乱が広がり、人が逃げるよりもそこにうずくまってしまう状況が起きます。

2 地震発生のメカニズムについて

・日本の国土の広さは、世界全体の陸地のたった0.3%にも満たないのですが、世界で発生する地震のおよそ10%が日本とその周辺で発生しているといわれています。

・地球の表面は、海や陸など厚さ数10〜200kmのプレート(岩盤)で覆われています。特に関東周辺は「北アメリカプレート」「フィリピン海プレート」それに「太平洋プレート」と呼ばれる3枚の岩盤が複雑に重なり合っていて、過去にも繰り返し大きな地震が発生してきました。

・3枚のプレートが互いに押し合っているため、地下では地震の原因となる「ひずみ」がたまり続けています。それが限界に達すると、亀裂が入ったり大きく動いたりします。これが地震なのです。

・地震が起こるとひずみはいったん解放されますが、プレートの動きは一定なので、定期的にひずみがたまって地震は繰り返されます。

・この繰り返しの周期が、過去をさかのぼると、おおよそ100年周期となっていて、まさにその100年目が今年なのです。関東地方南部は、マグニチュード7以上の地震が周期的に発生しています。

3 いのちを守ることについて

●「いつ発生するかわからない」のは、人間の時間で考えるからで、地球の時間でいうと、100年なんてほんの一瞬であり、今発生してもまったくおかしくはありません。

●今後 20~30年以内に70パーセントの割合で、首都直下型地震が起きると言われています。しかしその数字を聞いて安心はできません。確率とは、今起きてもおかしくないと受け取るのが正しいからです。

●とにかく最初の揺れ(約1分間)で、自分の命は自分で守ってください。自宅にいる場合にでも、家族で声をかけあってください。家族の中でも普段から、近隣の避難場所を決めておき、落ち着いたら避難できるようにしておきましょう。

須藤昌英

9月1日(金)第2学期始業式

〇42日間の夏季休業が終わり、今日から2学期が始まりました。正門で生徒を迎えていますと、朝の内はまだ涼しい風が吹いており、登校してくる生徒も暑さで辛そうな表情はありませんでした。

〇熱中症対策として、始業式をオンラインで実施することも検討しましたが、20分間という短時間で行うことを徹底した上で、体育館で行いました。

【始業式での校長の話】

この夏は、体温を越えるような「猛暑日」の日数が史上最多となり、連日のように全国各地で発生した熱中症や水難事故で命にかかわるようなニュースが流れていました。

1学期の終業式でも、熱中症の予防について話をしましたが、皆さんの家庭中心の生活はいかかでしたか?夜も寝苦しく、体調を崩した人もいるのではないですか?

7月の終わりには、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、ニューヨークの国連本部で記者会見を開き、「地球温暖化の時代が終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と発言しました。

確かに日本も酷い状況ですが、実は世界ではもっと酷いことになっています。夏の最高気温が40度台から50度に達する国や地域が、グローバルサウス中心(インド、中東、アフリカなど)に拡大しているのです。

体温を超える40℃の暑さ(酷暑日)というのは、人体にとって想定を超える危険な領域です。体の約60%を占める水分が蒸発するように減り、脱水症状(頭痛、吐き気、めまい)にもなりやすいのです。さらに重症化すると意識を失う、痙攣(けいれん)を起こすなど、医療処置が遅れれば死に至ることもあります。

9月は体育祭が16日(土)に予定されています。校庭での練習が始まるのは、直前の12日からですが、もしこの暑さがこのまま続くとなると、その練習でさえ出来なくなり、ほぼ「ぶっつけ本番」で当日を迎えることも想定されます。

命の危険をおかしてまで行事をすることは、本末転倒ですので、君たちの体調を最優先しながら、どうやって準備を進めるのかを判断することになります。

また2学期より、3年生は本格的に進路選択の時期になり、今月から一人一人と校長面接を行います。卒業後の自分のやりたいことや夢などを話せるように準備しておいてください。2年生はいろいろな役目を3年生から引き継ぐ時期です。委員会活動や部活動での活躍を期待します。そして1年生は入学してからこの5カ月間で中学生としての自覚が出てきたと思います。2年生と共に富勢中を支えてください。

それぞれの立場で、一段と成長した姿を実現し、楽しい富勢中を一緒につくっていきましょう。

須藤昌英

7月20日(木)第1学期終業式

〇4月6日にスタートした1学期の授業日数は、今日まで71日間でした。ただし通知票には、2・3年生は入学式に参加していないので70日、1年生は始業式から3日後の入学式から登校になるので68日と書かれています。いずれにせよ、振り返るといろいろなことがありました。

〇1年生は、中学校生活にも慣れ、授業・部活動・委員会活動など、活動の場が徐々に広がっています。また初めての定期テストを受けるなどの新たな経験を重ねながら、すっかり中学生らしい姿になりました。校外学習は、12月に埼玉県川越市でのフィールドワークを計画しており、2学期から準備に入ります。

〇2年生は、新たな仲間と担任で新しい学級が始まりました。徐々に学級組織もできあがり、昨年度から準備を進めてきた林間学校(長野県茅野市)に行きました。2日目は大雨でしたが、八子ヶ峰ハイキング・キャンプファイヤー・飯盒(カレーづくり)・八ヶ岳農業実践大学校での体験学習・和紙すき(うちわづくり)体験等、有意義な3日間を過ごすことができました。

〇3年生は、最上級生として1学期の学校生活をリードし、部活動や生徒会活動など多くの面でリーダーらしい姿を見せてくれました。修学旅行では、実行委員や班長を中心に、古都(奈良・京都)の文化遺産や日本の伝統に直接触れることができました。今後は進路選択に向けての活動も徐々に増えてきますので、高校見学や三者面談を通し、進路希望を固めていくことになります。

〇7月に入り、柏市中学校総合体育大会が始まっています。夏季休業に入ると、吹奏楽コンクール等も開催されます。今日までに部活動を引退した3年生もいますが、仲間と力を合わせ、最後まで粘り強く取組んだ思い出は、一生残ってほしいと願っています。

〇今後も厳しい暑さが予想されますが、保護者面談も計画していますので、よろしくお願いいたします。夏季休業中は、ご家庭や地域で過ごす時間も多くなりますので、生徒の健康管理に充分留意していただきますようお願いいたします。

須藤昌英

 

7月19日(水)大掃除

〇昨日は全校一斉の大掃除を行いました。暑い中でしたが、一人ひとりが自らの分担を責任をもって行うという活動を通して、集団の一員としての自覚を深め、生徒相互や教職員と生徒の触れ合いを深めていました。他の教育効果として、清潔の習慣の育成、公共心の育成、勤労の体験なども挙げられます。このように「掃除」のもたらす効果はとても大きいと感じます。

〇ある教育論者は、「掃除」を一生懸命することによって、5つの良いこと(「5K」)があると語っています。

一: 気づく人になれる

二: 心を磨くことができる

三: 謙虚になることができる

四: 感動の心を育むことができる

五 : 感謝の心が芽生えてくる

一生懸命に掃除している生徒に、「暑いので熱中症に気をつけて」と声をかけながらまわりましたが、終了後具合の悪い生徒が出なかったことに安心しました。

須藤昌英

 

7月18日(火)新着図書&夏休み本貸出

〇先週の金曜日の放課後、新しく図書室に届いた本の貸し出しがあり、帰りの会が終わると、多くの生徒が来室していました。少し遅れてきた生徒は、「この本は人気があるので、誰かが借りてもうないと思っていたけど、あってよかった」と笑顔で話していました。学校図書館指導員の菅原先生は、「富勢中は、本が好きな生徒が多く、列をつくって新着本を借りにくる中学校は他にあまりありません」と言っていました。

〇夏休み期間に読みたい本を借りた人もいて、新着本は一人1冊でしたが、こちらは一人5冊まで借りられます。梅雨明けはまだですが、猛暑の日が続いています。暑い日は外へ出かけるのを避け、涼しい場所で読書もいいと思います。読書は、自分とは異なる人間の生き方や考え方に触れることができ、多様な考え方を学べます。普段読書をしないという生徒も課題図書などをきっかけに、本と触れる機会を増やしてもらいたいです。

須藤昌英

 

7月14日(金)命を救う最初の一歩を学ぶ

〇今月に入り猛暑の厳しい日が多く、毎日熱中症の心配が絶えません(最悪の場合には命の危険も伴います)。熱中症の応急処置をしても、もし意識がはっきりしない場合はすぐに救急車を要請します。しかし、救急車が到着するまで(全国平均で8~9分程度)の応急処置をいかに的確にするかが、症状の悪化やその後の後遺症を防ぐことにつながります。

〇学期末の保健体育の授業では、「応急手当の意義と実際」の実習として、心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)を使った救急救命法を行っています。生徒が学ぶのに合わせ、教職員も一緒に参加し、万が一の場合に備えるようにしています。

〇突然、心臓や呼吸が止まった人の命が助かる可能性は、10分間を過ぎると急激に少なくなるといわれています。心肺蘇生法とは、この止まってしまった心臓や呼吸の動きを助ける方法です。また、突然心臓が止まるのは、心臓がブルブルとけいれんする「心室細動」が原因となることが多く、この場合には出来るだけ早くAEDによる電気ショックをあたえ、心臓の動きを回復させることが有効です。心肺蘇生法、AEDともに、心臓が止まってから実施するまでの時間が、早ければ早いほど、救命の可能性が高くなることが知られています。

〇最初に生徒たちには、心肺蘇生法やAEDの使い方を説明をし、その後グループに分かれての実習を行いました。みんなこの実習のために借りてきた人形やAEDを使って、積極的に取り組んでいました。最後に指導者からは、「実際に道端で人が倒れていたのを見かけたら、勇気をもって行動することが大切です。自分一人では何もできなければ、近くの人に助けを求めましょう。その勇気さえあれば、もしかしたらその人の命が助かるかもしれません。」と結びました。

〇生徒のみなさんには、夏休みも安全に健康で過ごしてほしいと願っています。

須藤昌英

 

7月13日(木)体育祭応援団(顔合わせ)

〇体育祭実行委員と並んで重要な役割である、応援団の顔合わせが一昨日ありました。各クラス男女2~3名ずつが集まり、団長決めや色決め(赤と白)を行ないました。

〇体育祭などの学校行事は、生徒が大きく成長する場です。特に実行委員や応援団などのリーダーを経験することにより、「自分や仲間のことを考えることができる力」、「自分や仲間のために行動に移せる力」、「仲間をまとめることができる力」の3つが身につくと言われます。

〇体育祭当日は昨年度同様に、午前中で終了しますので、時間の関係上、応援合戦の時間は設定していません。しかしその分、応援団は、開閉会式や競技中の応援で、活躍してくれます。

須藤昌英

7月12日(水)体育祭実行委員会

〇今年の体育祭は、9月16日(土)に行います。先月に第1回実行委員会が開かれ、実行委員名簿作成や今後の活動予定などを行いました。今日の第2回では、全校スローガンなどを決定しました。中学校の体育祭は、小学校の運動会とは少し異なり、教員の指導を受けつつも、基本的に生徒たちの力で企画・運営をしていきます。つまり生徒の主体性や自主性を重視しますので、その分終わった後の達成感は大きくなります。

〇昨年の体育祭を終えての生徒の感想には、「コロナ明けの久しぶりの体育祭で、応援や競技などの練習や準備など、最初はあまりまとまりがありませんでした。しかし当日は、みんなで一緒に盛り上がり、自分でも精一杯がんばったので、とても感動が大きかったです。」とありました。今年も多くの生徒が楽しみにしていると思います。実行委員の皆さんには、体育祭を成功させるため、裏方のような役割もありますが、お互いに活発に意見を交換して取り組んでもらいたいです。

須藤昌英

7月11日(火)電子版新聞を使った「情報の扱い方」の学習

〇昨日の「対話型生成AIを使った学習の可能性」では、現在急速な進歩を遂げている「ChatGPT」などを、教育活動に取り入れていく場合の留意点などを書きました。そして同じ「情報を活用する力の育成」に役立つものとして、従来の新聞(全国紙)を使った学びもあります。

〇少し前の文部科学省のデータでは、「新聞をまったく読まない」という中学生3年生が約7割程度いるという結果でした。また最近ですと、新聞を定期購読している家庭の割合も6割以下と徐々に低くなっています(過去15年間で30ポイント以上低下)。

〇新聞は各面の見出しをサッと見渡すだけでも、社会で起こっていることが大まかにつかめるという利点があります。読めば読むほど、世の中は複雑で簡単には理解できないことに気づきます。新聞を読むという一見非効率に見える時間も、少しずつ自分の引き出しを増やしじっくりと深く考えてみる機会になるととらえると、前述のまったく新聞を読まないことのもったいなさを感じます。

〇現在の学習指導要領でも、「新聞を活用した学習」が明記され、国語の授業の一部では、新聞の記事を使った教材も使用しています。本校では全国紙(読売新聞)と地方紙(千葉日報)の朝刊に加え、中高生新聞(朝日新聞)を定期購読しています。全国紙と中高生新聞は、図書室でいつでも生徒は閲覧できます。

〇加えて本校では2学期から、「朝日中高生新聞デジタルfor school」(中高生新聞の電子版で、手元のタブレットで閲覧できる)を活用して、情報化社会である現代において、膨大な情報の中から必要な情報を取捨選択することや、情報同士の関係を捉え、自分の発信したいことを表現する力の育成に取り組むことを計画中です。

〇そもそも新聞は、教科書レベルの正確な言葉が使われ、記事は記者による取材の裏付け(事実確認)があり、信頼感が高いです。また電子版は、興味ある記事を選んだり関連記事のスクラップが容易だったりする点に大きなメリットがあります。そのことによりどんなキーワードで、どの記事とどの記事が関連付けられているか見ることができるようになります。

〇どの学年でどんな取り組みかなどの詳細は検討中ですが、12月には新聞記者を学校に招聘し、新聞の歴史や社会的な意義、他のインターネットニュースとの違いなどを、全校生徒に講演してもらう予定です。この学習を通して生徒たちに、「生きた教材」である新聞を身近に感じ、多くの気づきを発見してもらいたいと思います。

須藤昌英

7月10日(月)対話型生成AIを使った学習の可能性

〇文部科学省は先週、生成AI(対話型人工知能)の利用について、小中高向けの暫定ガイドラインを公表しました。このガイドラインは、急速なスピードで広がる「ChatGPT」をはじめとした生成AIの現状に対して、国としての考え方を示したもので、学校関係者が生成AIの活用の適否を判断する際の参考資料として活用していく目的があります。

〇そもそも最近よく耳にする「生成AI(人工知能)」とは、どんなものでしょうか?少し調べると、コンピュータがこれまでの既存の文章や画像・音声などのデータから、それを組み合わせて、新しい内容を生成することを示しています。特に最近はその発達が目覚ましく、以前にはコンピュータが人間と見分けがつかないような文章等をつくることは不可能とされてきました。しかし、新しい生成型AIは、質問者と相互に会話を交わせるだけでなく、一見すると既存ではないオリジナルに見える内容も生成できるそうです。

〇本校でもこのガイドラインをこれからよく検討する必要がありますが、私としては、生成AIを教育活動で利用する基本的な考え方として、「情報活用能力の育成」は重要だと思いますし、今の生徒たちに、生成AIへの正しい理解や活用、使いこなすための意識を持たせるべきだとも感じます。ただし、その内容が偽情報である可能性、個人情報の取り扱いが適切か、著作権の侵害がないかなどの視点では、まだ未知な部分が多く、慎重にやるべきだと思います。

〇ガイドラインでは、「現時点では活用が有効な場面を検証しつつ、限定的な利用から始めることが適切」と書かれていますので、まず生成AI自体の性質やメリット・デメリットをよく整理したいと思います。

【ガイドラインで示された適切な利用の例】

・グループ討論で、アイデアの参考にすれば、議論が深まる

・英会話の相手として活用し、自然な会話表現へ改善できる

・情報モラル教育の一環として、教師が生成AIの誤りを含んだ回答を教材として活用し、その性質に気づかせること

【ガイドラインで示された不適切な利用の例】

・生徒の感性や独創性を発揮させたい場面で安易に利用する

・夏休みの作文・日記・読書感想文・レポート、各種コンクール応募作品にそのまま使用する

・定期テストや単元テストで使わせる

〇いずれにせよ、生徒も教職員も高いリテラシー(適切に理解・表現していく能力)を持つ必要があると感じます。

須藤昌英