校長雑感ブログ

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10月30日(水)「中学校教育に望むこと」

〇全日本中学校会が定期発行する冊子に、前WBC日本代表監督で、メジャーリーグに行く前の大谷翔平選手を育てた栗山秀樹氏にインタビューした記事がありました。一部を紹介します。
〇質問
今、日本の中学生は、他国の若者に比べて、「自己有用感」「自己肯定感」が低いと言われていますが、監督の目には今の中学生の姿がどのように映っているのでしょうか?
〇栗山監督
どこに生まれるかというのは自分で選べるわけではありません。例えば人に生まれるかもしれないし、虫に生まれるかもしれないことも含めて、神様が決めているという中で、ほかの民族がどうのこうのというのは一切関係なくて、そこに対しては中学生だけでなくて日本全体が言われていますよね。
日本人が優秀だと言われた時代があったものが、今これだけ経済的にも政治的にも遅れをとっている。ただ、先人の皆さんの功績とかやってきたことを見ると、僕はこの国に生まれて本当に良かったと思っています。そのことをWBCで表現したかったというのは正直あります。
日本が世界一になるという意味は、「さあ行くぞ、俺は世界をとってやる」と子ども心に感じてもらうためではないかと思っていましたし、そういう意味では、自己肯定感が低いという中学生たちの感じをみていて、ただ単純に「ぜいたく病なんだろうな」と思っているだけです。
昔は食べるのも大変だった。何もしなければ食べられないわけですよ。ところが今は、大人になっても守ってくれる人たちがいっぱいいるので、それはなかなか難しいだろうなと思っているところがある。変な言い方ですけど、それがダメとかそういうことではなくて、絶対能力はあるし頑張ったらできるところもある。スポーツの世界にいて何が人の分岐点なのかというと、能力じゃないですね。「できないよな」と思った瞬間にできないんです、すべてが。そうではなくて、これをやると決めてやり切った人がそこにいくというだけの話です。それは時間がかかるかもしれないですけど、そういうことなんだと十年間の監督生活で思ったんです。これは体験です。
(途中略)
要するにの能力じゃない、本当に自分がこうするんだという確固たる志、意思というんですかね、それが何らかのタイミングで得られれば、今の中学生たちも勝手に能力が伸びていくということなのかなと、そこは信じています。
そういう子どもたちが、今はそうみえるけれども、必ずそういうものをもっている。そこにどうやって火をつけるか、どうやって灯をともしてあげたらいいのか。僕は良く、「やる気の志には我々は火をつけられない」と言っています。本人しか火をつけられることはできないので、我々はそのお手伝いしかできないと思うんですよね。今その自己肯定感や自己有用感が育たない何かの要因があるというだけなのかなという感じで僕は捉えています。
〇栗山氏は国立の教員養成大学の出身で、教員免許ももっていた方なので、親近感があります。プロ野球選手という大人を育てる仕事ですが、基本的な考えは我々教員と同じだと感じました。

 須藤昌英