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何点とるかの競い合い?
『日本の教育』
南点を何度漢字変換しても、何点か難点になります。困ったもんだ。
入学試験のシーズンです。何点とるかの激烈な競い合い。こんな競争に巻き込まれている若者たちは本当にかわいそうです。受験競争は私たちの時代から変わっていません。それも正解が一つだけある問題に解答する正答率が高い子どもを選び抜く制度です。一番正答率が高い子どもたちが東京大学へ入学します。私はそこで教えていました。こんな子どもたちも私のもとに送り込まれて迷惑。東大生に嫌がらせを言ったものです。あンたたち、せいぜいクイズ王ぐらいにしかなれないよって。
これから先は、日本も世界も 予測不可能な変化の時代。誰も 答えを出したことのない問いを立てて、自分で解くことができる人材こそが求められるのに、 決定的に問題なのは選抜方式がまったく変わらないこと。教育改革には、この選抜方式を抜本的に変えることが必要なのですが、そうなればこれまで受験技術のノウハウを磨いてきた進学校や受験産業などの教育業界が猛烈に抵抗することでしょう。
大学教育の入り口だけではありません。出口も大問題。ある日私のゼミの学生が茶髪を黒髪に染め直して出席しました。「どうしたの?」と訊くと、就活が始まったのでした。「個性的な人材を採用したい」と口では言いながら、男子も女子もまるで制服みたいなリクルート・スーツに身を固めて就活に臨む学生たちを見ていると、あーあ、これじゃ日本の企業に未来はないや、と思わざるをえません。
講義の後に、「質問や意見は?」と訊ねます。「意見」は「異見」とも書きます。教師の言ったことに100%同意するなんてありえません。異見があるか らこそ、学問は発展します。「ご異見は?」といわれて「べつに~」と答える学生を見ていると、つい、嫌がらせを言いたくなってしまいます。あンたたちに日本の未来は託せないよ、って。日本の教育は難点だらけです。
社会学者・東京大学名誉教授 上野千鶴子
フェミニストで社会学者の上野千鶴子さんが新聞に投稿したコラムです。正解のある問いに対して、1点でも多くとったものが選抜されるという現在の入試制度を痛烈に批判しています。現在の入試制度は、このままいけばあと10年もすれば崩壊するでしょう。現在の高校1年生が生まれた2009年の出生数が107万人。昨年2024年の出生数が72万人ですから、あと15年後には、およそ30%の高校が淘汰される計算になります。すでに早稲田大学ですら定員の6割を指定校推薦とAO入試で決めています。令和8年度の千葉県公立高校入学者選抜も様々な改革が行われるようですが、「限定された評価基準での競争」という価値観はそろそろ限界がきているのではないでしょうか。