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2026年9月の記事一覧

9月29日(火)『好き』を育み、『得意』を伸ばす

〇東京都心では8月27日から今日まで34日連続で降水を観測し、観測史上最長の記録となりました。また台風26号が接近しています。この台風は日本の南の海上を北東へ進んでいて、今のところ直撃する可能性は低いですが、長雨の影響が長引きそうです。最新の気象情報に注意してください。

〇次期の新学習指導要領に向けた具体的な審議が、現在文部科学省の諮問を受けて中央教育審議会(中教審)およびその下部組織である初等中等教育分科会の教育課程部会・教育課程企画特別部会などで行われています。

〇その審議では、「生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手を『みんな』で育む」ことを目指すことが示されています。これまで学習指導要領の「生きる力を育む」からさらに一歩進んだ感があり、今後の動向に注目しています。

〇まず「自らの人生を舵取りする」とあるのは、学ぶことは自らの人生の可能性をひらくためであり、学校は生徒一人ひとりの大きな可能性を引き出すことが一番の役割です。ともすると生徒が受け身になりがちな旧来の一斉講義型授業で、みんな同じ学びを続ける学校教育では、一人ひとりの可能性は拓けないことがわかってきました。個性、特性、理解度、興味・関心などに合わせた、一人ひとりにとって「公正で最適な学び」を実現していきたいものです。

〇次に「民主的で持続可能な社会を創る」に関しては、同じく「学校は何のためにあるのか?」という問いが突きつけられている気がします。なぜなら今回は生成AIが本格的に登場してから初めての改訂であり、「生成AI時代では知識や技能を身につけるだけならAIと一人で勉強したほうが早いのではないか?」の感覚が少しずつ広がっているように感じます。予測不能な技術革新が進行する時代に、「数年後の学校の価値が何か?」に明快に答えることは困難です。

〇教員としての40年間で私が考えてきた学校の存在意義は、「ちがいを認め合い、学び合う」です。そしてこれは今後何年経っても、変わらないのではないかと思います。特に公立学校の場合は、たまたま同じ地域に住んでいたという縁で、一緒の空間で学ぶ仲間になります。そんな学校という場だからこそ、「民主主義を観念だけでなく、実践的に学べる」のではないでしょうか。

〇また次期学習指導要領の改訂に向けた議論では、「『好き』を育み、『得意』を伸ばす」という方針が重要なキーワードとして掲げられています。これも自己の肯定や存在意識を導くという面で、興味深いです。好きなことや得意なことに取り組むと、「できた」「わかった」という成功体験を実感しやすくなります。そして自分で選んで取り組むことで、「自分にはできる」「自分の選択は間違いじゃない」という主体性や自信が生まれます。そして周りの大人が生徒の「好き」や「頑張り」を認めて褒めることで、生徒は「今の自分のままでいいんだ」と安心感を得られます。

〇その一方で、「『好き』なことや『得意』まことだけをやればよいのか?」という疑問も当然湧いてきます。学校での学びは、『好き』なことや『得意』ことだけではありません。『嫌い』なことや『不得意』なこととどう向き合い、『嫌い』だと思っていることは「どうして自分はこれが『嫌い』なのだろうか?」と原因を探ったり、『不得意』なことは「少しでも『不得意』な意識を薄めるにはどうしたらよいか」と試行したりすることが大切です。つまりそれが単独で良いわけではなく、先ほどの「健全な民主主義の担い手(主権者)の育成」という両輪を実現していくという前提条件が必要です。

〇参考までに改定に関する今後の主なスケジュールです。

2026年度冬頃:中央教育審議会による答申

2026年度末:小・中学校の学習指導要領改訂

2027年度末:高校の学習指導要領改訂

2030年度:小学校の学習指導要領が全面実施

2031年度:中学校の学習指導要領が全面実施

2032年度:高校は入学生から順次実施

〇これまでも主体的・対話的で深い学びを目指してきましたが、今後は生成AIなどの社会変化に対応し、生きて働く確かな知識の習得や自分の意見を表現して、自分なりの納得解を形成する探究的な学びを深めていきます。

 須藤昌英

【文部科学省の資料から】