校長コラム

「新たな一歩」

 早いもので今年度も残すところ二週間あまりとなりました。年度当初から,新型コロナウイルスの感染拡大防止のため,臨時休業が約2カ月間続き,その後,このウイルスの終息まで,何年を要するか先が見えない中,6月から教育活動がようやく再開されました。様々な学校行事や部活動,地域行事等が中止になるなど今まで通りの教育活動が実施することができなくなりました。また,1月には再び緊急事態宣言が発令し,追い打ちをかけるように様々な活動において制限された中で令和2年度の教育活動が終えようとしております。これも一重に保護者の皆様,地域の皆様のご理解とご支援があったからこそ,ここまでこれたこと心より感謝いたしております。
 15の春に向けての進路決定も,公立高校学力選抜検査が発表を終え,一人一人の歩む道が定まりつつあります。3月12日(金)は第3回の卒業証書授与式が本校体育館で執り行われます。巣立ちゆく3年生は様々な思い出が蘇ってくると思います。特に,今年度の3年生はほとんどの学校行事が中止になり、最上級生としてその力を発揮することができませんでした。しかし,そのような状況においても,3年生が様々な活動においてリーダーシップをとってくれたことに感謝します。その姿は間違いなく1・2年生にとって今後の目標になったことと思います。3月4日,リモートで動画を中心とした「3年生を送る会」が実施されました。限られた時間の中での準備でしたが,生徒会が中心となり1・2年生それぞれが全員で様々な趣向をこらし,お世話になった3年生に感謝の気持ちを表しました。送る側,送られる側の気持ちが伝わり合う,とても温かい時間でした。
 さて「静止した物は外から力が働かない限り静止し続ける」,「同じ速度でまっすぐ動いている物は外から力が働かない限り,同じ速度で動き続ける」,これは有名なニュートンの「慣性の法則」です。物体という物について当てはまる法則ですが「者(人)」という字も当てはまらないでしょうか。私たちは,ややもすると,「静止したままで」,自分を変える努力を惜しんではいないでしょうか。また,これしかないと思ったら,周りのことなどお構いなしに行動してはいないでしょうか。私たちは,「物」ではなく「者(人)」なのです。自分で考えて自分で行動することが大切です。そして,自分の行動を振り返ることです。
 これから卒業・進級の時期を迎えます。まさに「啐啄同時(そったくどうじ)」の言葉通り、外からの働きかけと,内からの働きかけが呼応する大切な時期です。春休み,開放感から箍(たが)が緩み大きな事故に繋がることもあります。春休みこそ,新たな一歩に向け,決意を新たにする大切な時だと思います。

                                      柏の葉中学校校長 加藤定浩