校長コラム

感 動 と 応 援

 第4回柏葉祭が開催されました。本校に着任して二度目の柏葉祭,今まで生徒達の歌声・演奏・発表に感動し,時には涙することもありました。しかし,今年はそれを超えるものが感じられました。全発表を聞き終えたとき,残ったものは感動を通り越し言葉では上手く表現できないくらいすばらしいものでした。柏葉祭に対する生徒達の思いと,一生懸命伝えようとする気迫を感じることができました。指揮者に注目する目,息づかい,そして全身で伝えようとする姿,どれをとっても生徒達の気迫に圧倒されるものでした。特に聴衆へ挑みかかるように歌う3年生の姿は,「感動」という言葉を超えるものでした。人に思いを伝えるということは難しいもので,時には空しさだけが残ることがあります。しかし伝え合わなければ「信頼」は生まれません。様々な葛藤を経ながら絆を深め創り上げた発表でした。
 さて,今年も全国ではいじめに関する悲しいニュースが報道されています。その一つに10年前大津市で起きた中学校2年生のいじめ事件です。とても痛ましい事件で二度と繰り返してはなりません。
 今年の文部科学省による調査では,全国のいじめ認知件数は過去最多を更新しました。本校では現在,二学期末の調査を実施し集計・対応中ですが,生徒が「いじめられたことがある」と回答した内容は「冷やかしやからかい,悪口,嫌なことを言われるなど」が主でした。現在は解決している件もありますが,認知した件すべてについて,すぐに内容を確認し対応にあたっています。その他,日々子どもの様子からいじめに注視し,「早期発見・即時対応」を心がけています。しかしながら大人の見えないところで発生するのがいじめであり,子どもは親に心配かけたくないあまり言葉には出しません。子どもの様子に不安な面が見えたら遠慮無く学校に相談して下さい。
 話は変わりますが,【「期待」をすると子どもはそれに心を囚われ,そのプレッシャーにつぶされる。愛情を注ぐと言うことは「応援」することであり,子どもが上手く出来たことに素直に喜びを見いだすことである。】と人材育成の講演会で聞いた話があります。
 生徒の様子を見ているとまさに親の期待に押し潰されそうな子がいます。家庭という場で毎日子どもと接していると,親の強い思いからでた過度の「期待」が,時には度を超した叱咤や人格さえ否定する言葉となり,子どもに浴びせることがあります。子どもはどうしようもなく,沈黙しその場を耐えます。高校受験の時,母親が毛糸の靴下を編んでくれ,寒い部屋でそれを履き勉強した思い出があります。少し目先を変え子どもの「応援」をすることも大切だと思います。
 来る年が皆様にとって良い年でありますよう祈念いたします。